つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

また海外で政敵の暗殺か−独裁国は怖い

 ウクライナに亡命していた元ロシア下院議員のデニス・ボロネンコフ氏が3月23日、首都キエフ中心部で白昼に殺害されました。街中での事件だけに監視カメラの映像が残されていて、殺人犯と思しき男が元議員に背後から近づき発砲し、元議員は即死状態。彼に付いていたガードマンが応戦したため、犯人も撃たれ負傷。現場で拘束されましたが、その後病院で死亡しています。
 報道によれば、ボロネンコフ氏はロシアにいた時、激しいプーチン批判をしたため、政権側に嫌われ、暗殺の危機もあったといいます。そこで昨年、著名なオペラ歌手である妻のマリヤ・マクサコワさんらとともに反ロシア姿勢を貫き通す隣国ウクライナ政治亡命し、同国からプーチン政権批判の発言を繰り返していました。
 これに対し、ロシア政府は、ボロネンコフ氏がモスクワ中心部の建物(500万米ドル相当)の乗っ取りを画策したとして詐欺容疑で告訴し、国際指名手配にしたのです。今回の事件について、ウクライナのポロシェンコ大統領は「ロシアによる国家テロだ」と非難。一方、ロシアの大統領報道官は「われわれとは関係ない」とコメントし、ウクライナ政府の仕業だとほのめかしています。
 事件の少し前、ロシアの軍事専門家がフェイスブック上で、ボロネンコフ氏と妻のマクサコワさんが「ウクライナ保安庁の標的になる可能性がある」との見解を示していたそうな。なぜ2人が「標的」になるのかについて、軍事専門家は「この夫妻が殺されれば、当然非難はロシアに向かう。ウクライナはそれを狙っているのだ」と分析したと言います。でも、常識的に考えれば、これはちょっと無理な筋書きですよね。
 しかも事前に殺害されるとほのめかす発言や、その通りに事件が起きるなどというのは尋常ではありません。ボロネンコフ氏を殺害することでウクライナにどんな得があるというのでしょうか。外国からプーチン批判をする元ロシア人を抹殺して得をするのは、やはりボロネンコフ氏をうっとうしいと感じるプーチン側ではありませんか。
 2006年には、プーチン批判で有名なロシア人女性ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤが自宅アパートで射殺されたほか、同年、プーチンの政敵と言われた元KGB職員のアレクサンドル・りトビネンコ氏も英国で放射性物質を飲まされ、殺されています。そのほか、プーチン批判をして行方不明となっているジャーナリストは100人を超えていると言います。
 古くは、スターリンの政敵であったトロツキーが逃亡先のメキシコで謎の男に斧で一撃され、暗殺される事件がありました。ロシア人絡みで海外で起きた政敵へのテロ事件は枚挙にいとまがありません。金正男さん殺しにかかわったと見られる北朝鮮は、こうしたロシアの”手法”を見習ったのかも知れません。いずれにしても独裁国、民主主義国を装った半独裁国も怖いです。

 上の写真は、上海の肉屋の店頭。