つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

平和を望まない独裁国がいる現実直視すべき

 今、ポーランドやバルト3国、英国などでショッピングセンターなど一般市民が多く集まるところで大規模火災が頻発しています。いずれも放火の可能性が高く、実際にポーランドの火災については実行犯が逮捕されています。この犯人はそれらの国籍の人なのですが、そそのかしたのはロシアの対外スパイ組織「GRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)」だと言われています。ロシア側もロシアの脅しであるとほのめかすために、”背後の犯人説”を否定していません。

 2006年、英国に逃げていたロシアのスパイ、アレクサンドル・リトビネンコ氏がロンドンで放射性物資「ポロニウム」を盛られて殺害されそうになったほか、今年3月にも英国南部の町で英ロシア人の二重スパイと言われるセルゲイ・スクリパリ氏が娘とともに神経剤「ノビチョク」によって毒殺されそうになった事件がありました。いずれの事件もGRUが関与したものだと見られています。プーチン自らが直接命令したかどうかは分かりませんが、彼が元KGBであることからすれば、周囲に”大統領の意思”を忖度して抹殺に動く人間は相当いることは想像に難くない。

 このほか、テレビの報道番組でやっていたのですが、バルト3国の一つエストニアとロシア間の国境を流れるナルバ川で、最近、国境線を表示するブイをロシアの警備艇が一方的に撤去していると言うのです。エストニアはロシアのウクライナ侵攻戦争で積極的にウクライナ支持に回り、軍事支援などに熱心であるため、ロシアは不快感を募らせていたようです。今回のロシアのこの行動はエストニアに対し、「両国に国境線などない。こちらの意思でいつでも攻め込むぞ」という意図を暗示したものではないかと見られています。

 ただ、確認しておかなければならないのは、一連の犯行がロシア側の仕業であることが明確になったら、事実上、ロシアがNATO諸国に攻撃を仕掛けたことを意味します。「NATOの一国でも攻撃を受けたら、それはNATO全体への攻撃とみなし、反撃する」という条約文第5条の建て前からすれば、ロシアの一連の加盟国への行為はすでに第5条発動の理由になってもおかしくないでしょう。フランスのマクロン大統領が、ウクライナへの派兵をほのめかしているのはそうしたロシアの挑発行動を考慮してのことかと思われます。

 再び世界大戦なんて…、第3次世界大戦が起こるなんて御免だと考える人が圧倒的でしょう。われわれ平和を愛する人々は世界的戦争の再発なんて絶対に望まない。でも、残念ながら現実に他の独立国に押し入って、狼藉を働いている国があり、それを公然と支援している国もあります。自由と民主主義という素晴らしい政治制度を持つわれわれ諸国は、人権もない、国民への愛情がひとかけらもないそうした独裁国家の言うなりになっていいのか。それらを見逃していいのか。

 NATOウクライナ戦争に手をこまぬき、ロシアのウクライナ占領は認めたら、次はバルト3国、ポーランド侵攻になることは火を見るより明らか。ソ連だったロシアはこれらの国々を侵略した過去がありますから。デジャブ(既視感)です。そういう意味で、ロシアのウクライナ以外の東欧諸国へのちょっかいは、すでに本格的な第3次大戦へ秒読み段階に入っていることを示唆しているのかも知れません。

 今、西側世界は、侵略国、独裁者の言うなりになっていいのか、好き勝手にさせていいのかという瀬戸際に立っています。1938年、ナチスドイツがチェコズデーテン地方を占拠、そのあと開催されたミュンヘン首脳会談で、英仏は最終的にナチスの侵略を追認しました。だが、独裁者ヒットラーはそれで矛を収めない。相手の脆弱さを知ると図に乗り、次の餌食を求めました。1年後にポーランドに電撃侵攻したのがそれです。ロシアも今回、ウクライナ侵攻に成功したら、次は必ずバルト3国、ポーランドを狙うでしょう。

 ロシアの支配下に入ったら、昔の東欧諸国が受けた「ブレジネフ・ドクトリン」のようにロシアの思い通りの国家にされ、蹂躙され、独立国としての体裁は失います。バルト3国、ポーランドは歴史の教訓としてそういう成り行きを十分承知しているので、強烈に反ロシアに回るのでしょう。われわれ日本も、侵略国、独裁者への安易な妥協はのちのち大きな災いを招くことを十分肝に銘じておかなくてはなりません。

 上の写真は、横浜・伊勢佐木町モール近くの八百屋店頭で見かけたハマのビリケンさん。下の方は、野毛の美容室前のくまさん。くまさんが「Welcome」としながら、すやすや眠れるほどに平和な時代が続けばと願います。

 「ベサメ・ムーチョ」とは、訳せば「たくさんキスして」。人類は永遠に互いを尊重して、愛に生きることはできないのか?