つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

禁止薬物に「軍隊撤退」ロシアのやること不可解

 ロシアというのは本当に得体の知れない国。いわゆる西側の常識が通用しないので、相手をするに骨が折れる感があります。一つは北京オリンピックフィギュアスケート選手、カミラ・ワリエワさんの件、もう一つはウクライナ国境に大量の軍隊を張り付けている件。2つに共通しているのは、率直な感想として、なんでそんなことをするのかということです。15歳の小娘に禁止薬物を飲ませてまでして金メダルを取らせようとするのは異常だし、昔の同胞であったウクライナに圧力掛ければこちらの言うことを聞くだろうと考える態度も不可解です。

 ロシアはもともとIOCが実行しているドーピング体制に反対で、それゆえ国家としてオリンピックに参加できない国です。本来なら国際間で取り決めたルールを守れない国なんだから、その国の選手は出るべきでないのですが、IOCとバッハ会長は「ROCロシアオリンピック委員会)」などという”方便”で参加を認めています。日本で、特に我々の世代でROCと言えば「流通卸売センター」のこと。服や靴の安売りで一世を風靡をした店です。こうして国でなく団体という方便を使っているのにもかかわらず、そのROCも依然禁止薬物を使って平然としているのは訳が分からない。

 そもそも、禁止薬物の服用は15歳の小娘が自身で考えられることではない。恐らく監督、コーチの差し金があったのでしょう。そして、驚くことに小娘には「心臓病の爺ちゃんと同じカップを使っていたから」と、間接服用のように弁解させています。ばかばかしくて開いた口がふさがらない。こんな嘘で世界をだませると思う浅はかさに呆れてしまいます。結果として彼女は4位になったので、記者会見に出る必要はなくなったけど、もしこれで金メダルなどを取っていたら、大々的に批判の標的にされていたでしょう。彼女のためには、メダル外になったことは良かったと思います。

 ウクライナ国境に張り付いていた大量の軍隊について、ロシア国内のメディアは最近、戦車を鉄道貨車に積んだ映像を見せて、「国境地域から引き揚げています」みたいな報道をしています。これに対しても、西側は信じていません。当たり前で、今や世界の情勢は衛星監視の時代なのです。国際スパイ小説作家のフレデリック・フォーサイスがかつて「悪魔の選択」の中で、衛星は地上にフォーカスしていくと小麦の生育具合まで分かるんだと書いたけど、大規模な軍隊が依然残っているかどうかなどはすぐに分かることです。

 で、ロシアは「軍隊撤退」という嘘までつい依然圧力をかけ続ける意味って何なんだろう。本当にウクライナNATOに加盟させないだけの意図なのか。その論理で言うならば、バルト3国もロシア、盟友のベラルーシと隣接しているのだから、加盟に反対すべきだったし、ロシア飛び地のカリーニングラードだってポーランドやバルト3国に挟まれているのだから、ポーランドの加盟だって反対しなくてはならなかった。どうも別の意図があるように思えてならない。

 前にも書きましたが、NATOとは西側を意味しますから、NATO諸国がロシアに隣接してくると、ロシア国内に西側の”風”が一段と強く吹き込んできます。そうなると、プーチンの独裁体制も怪しくなってくる。で、ウクライナに攻め込むぞ攻め込むぞという切羽詰まった状況を国民に見せることで、国内の政権反発を抑えたいという意図があるのではないかと思ってしまいます。これは、中国が台湾侵攻気配を見せる”火遊び”と一緒で、国内的に反習近平の動きを抑える行動の一環でしょう。

 独裁者が真に怖れるのは、ロシアで言えば、NATOでも米国、西側でもなく、反プーチン国民感情の高まり。中国で言えば、台湾統一への影響、障害などではなく、自由と民主主義を享受した台湾人民の息吹が大陸にやって来ることだと思います。外に敵を作っておけば、国内はまとまるというあさましい考えに基づく行動ですが、こうした道理でいつまで国民をだませることやら。

 上の写真は、多摩市のハイキングコース。下の方はそのコースの中にある「防人見返りの峠」から見た景色。この峠から多摩市や丹沢が一望できる。いずれも昨秋のもの。