新聞を見ていると、今、国会周辺で話題になっているのは、野党の再編とか。まあ、衆院議員の任期もあと1年強。総選挙は遠い将来でもなさそうなので、当然こういう動きが出てくるのは予想されました。国民民主党と立憲民主党が合併を前提に話し合いを進めていますが、この2つの政党、もともとは「民進党」という同じ政党にいたのではありませんか。分かれた当時は、近親憎悪的に遺恨を残すような分かれ方でしたが、3年がたったので、仲直り再結集はうまく行けると踏んだのでしょうか。
この再結集を陰で進めているのは、もちろん「連合」でしょう。連合は官公労主体の旧「総評」系、民間労組主体の旧「同盟」系を寄せ集めたナショナルセンターですが、彼らの政策実現のためには元の民主党のような自民党の対抗軸となるべき大政党を作って欲しいと願っているのです。立憲にしろ、国民にしろ、支持率を見る限りこのままでは両党とも尻つぼみ。単独では永久に政権が取れないし、批判だけの野党で終わりかねない。第一、2党に分裂していると選挙でどう応援すべきか、対応に苦しんでしまうと連合は思ったのでしょう。
そこで、両党の合併工作が始まりましたが、最初につまずいたのは党名の問題。立憲の枝野代表は自らの党名にこだわり、国民民主の玉木雄一郎代表は「議員無記名による投票で決めよう」と主張したのです。結局、議員投票で決めるようですが、無記名にするかどうかは未定とのこと。仄聞するところ、昔に戻って「民主党」にしようという案が有力になっているとか。何やかやとやり取りがあったようですが、最後は小林旭の歌のように「昔の名前で出ています」ということで落ち着くのかも知れません。でも「民主党」では何か新鮮味に欠けますし、3年間の執政失敗の印象が強烈ですから、選挙民には受けませんね。
これで合併に向け一歩進んだのですが、まだ政策のすり合わせができていない。「総論は賛成ながら、各論でさまざまな問題が…」ということのようです。国民は憲法改正に賛成の方向、立憲は改憲反対の方向、安全保障についても、国民は日本列島周辺環境の悪化を認識し、かなり自民党の防衛論に近いが、立憲は軽武装主義です。エネルギー政策、特に原発についても、電力労連をかかえる国民は容認方向だが、立憲は断固反対であり、かなり基本政策で違いがある。合併に当たってこれをどうまとめていくのか。
すでに国民民主系議員のうち長島昭久、細野豪志らのように、改憲、安全保障重視の方々はすでに自民党に移っていますが、国民党内には前原誠司のようにまだまだ同じ政策志向を持つ議員が残っています。こういう議員は今さら、立憲と一緒になるなんて考えてもいないだろうし、立憲の議員も嫌がるでしょう。選挙区対立候補との関係から自民への移籍も無理でしょう。それで、今、羽振りのいい日本維新の会への移籍を考え始めたようです。維新の会が受け入れるかどうかは分かりませんが、この党またぎは選挙民にはちょっと不安を与えるかも知れません。
というのは、国民民主は連合がバックにしているだけに、公的サービスを増やせ、福祉を厚くしろというビッグガバメント志向の政党です。これに対し、維新の会は「大阪府と大阪市の二重行政は止めよ」と主張しているように、無駄なパブリックサービスを省き、規制緩和を進めるというスモールガバメント、新自由主義志向の政党です。改憲、安全保障政策ではそう違いがないとはいえ、前原らの議員が重福祉から新自由主義にそう簡単に移れるものなのか、ちょっと考えさせられます。
上の写真は、横浜駅近く郵便局ビル跡にできた「アソビル」一階のオープンスペース飲み屋街。氷結したレモンを突き立てたサワーが面白い。