つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中国は、国家の品格とは無縁だ

 数学者の藤原正彦先生がかつて学問分野に関わらない「国家の品格」という本を書き、ベストセラーになりました。小生も読みまして、なるほどという部分がありましたが、別段強く印象に残った内容ではありませんでした。でも、その書名は強烈な印象として残っています。人間の品格も大事だが、国家の品格も大事だということです。
 でも、昨今、中国のやり方を見ていると、およそ国家の品格とは無縁のところにあります。小生は多くの中国人の友人を持っており、多くはそれなりに人間の品格を持っているようにお見受けしますが、あの国の指導者層、つまり共産党という集団を見ると、およそ品格とはかけ離れているようで、見るに堪えません。
 南シナ海岩礁問題で、このほど国際仲裁裁判所が裁定を出しました。その後に、何とかという外務次官が記者会見し、「(裁定などは)紙くずだ、すぐにくず入れに放り込めばいい」などと発言していました。どんなにその内容に不満で、不服だと思っているにしても、仮にも、自らも常任理事国として参加している国連の下部機関の判断を「紙くず」と言い張る愚かさに啞然とします。
 それから、日本の安倍首相が南シナ海で中国に反対の立場にあって、各国に根回ししていることにいら立ったためか、先にウランバートルでセットされた日中首相会談の際、李克強首相は20分遅れて到着。その間、安倍首相を待たせるという挙に出ました。国内では分単位で動く安倍氏はただ所在なさげに立って待つだけで、大変な屈辱を味わいました。
 しかも、遅れて会談場に到着した李氏は、室外に安倍首相がいるのを無視して勝手に室内に入り込むという無礼を働きました。本当はわざとやったとは思いたくありませんが、でも、中国が安倍氏個人に不快感を持っているという視点に立つと、どうも計算づくでやっているようにも思えてきます。そうだとしたら、低次元すぎるし、それこそ大国の風格、国家の品格とは無縁の国ということになります。
 かつて日本の大使を務めた王毅という外相も異常な人物と言わざるを得ません。外交部(外務省)の定例記者会見で、カナダ人女性記者が中国の人権状況の悪さを質問すると怒りを露わにし、「あなたの質問は偏見と傲慢に満ちている」などと言って、鼻から質問の中身に答えようとしませんでした。傲慢はどちらなのか。
 国家の主要幹部であれば、記者会見の場で、たといいやなことを質問されても、怒ることなく、一つひとつ丁寧に答える、冷静に反論することが必要だと思うのです。自らの国家の行ったことに誇りがあるなら、百万人と言えども我行かんという態度で、正々堂々と対すべきです。でも、どうも記者の質問が的を射ていると思ったせいか、王毅は、傷口に塩を塗られたごとくに怒ってしまったようです。
 彼らの怒りを見ると、要は役人一人ひとりも内心忸怩たる思いがあるのかも知れません。そうだとしたら、国家の非常識なやり口を自らの意思に反してかばわなければならない中国の党・政府の役人もまた悲しい存在です。

 上の写真は、昨年秋に行った岡山県備前日生大橋の全景。