つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

迫力がない「緊急事態宣言」は説得力ない

 政府は4月7日、新型コロナウイルスの流行阻止に関して「緊急事態宣言」を発令しました。これは本来、平穏な時期を突き動かす大変な号令であるはずです。でも正直、記者会見に出てきた安倍首相からは、緊急事態が発生したとか、非常時になったんだとかの緊迫感は感じられませんでした。この人のもって生まれた家庭環境のせいか、はたまた個人的な性格なのか、舌足らずの言い回しのせいか。あるいは、彼個人がもともとそれほどの危機感を感じておらず、その思いがにじみ出てしまったためか。

 小泉首相はかつて、自身の懸案であった郵政改革法案が参院で否決されたあと、記者会見し、”理不尽”にも当事者でない衆院の解散に打って出ると宣言しました。あの時の目力、迫力はすごかった。正直なところ、多くの人は、郵政改革が本当に必要なのかどうかは分からなかったけど、小泉さんがあれだけシャカリキになって主張するのなら、正しいんだろうと思いました。それに比べると、安倍首相の今回の会見は、人をして納得させるという面では、かなり見劣りする感じがします。

 第一感として、緊急事態と言う以上、政府はわれわれに、コロナを撲滅するためにどれだけの犠牲を払うべきか、その要求内容がズラズラと出てくるものだとばかり思っていました。ところがどうだ、これこれはやってはいけないという強制禁止事項は何もない。あくまで自粛を続けよという従来の繰り返しに過ぎません。しかも、対人接触を避けるためにさまざまな公共施設、商店、集会施設にクローズを要請するのは模様を見て2週間後に発表と言うのですから、開いた口がふさがりません。

 緊急事態宣言と言うのなら、首相のリーダーシップである程度の強制的な措置を発表しても良かったのではないか。まあ、確かに営業停止、店舗閉鎖などを強要すれば、個々の業界からの反発がある、損失に伴う補償問題も生じる。野党の一部が言うように、人権にかかわる面もありましょう。という意味で、なかなかそうした措置まで取りにくいのは確か。でも、断固感染を抑えるという本筋に強い意志を示すなら、それもありかと思います。首相の確固たるリーダーシップを示してほしかった。

 これが本当の戦争だったら、どうか。尖閣諸島に中国側の漁民が上陸してきた時、「まだ漁民だから、正規軍でないから大丈夫」とか「連中はこん棒だけで、銃は持っていないから」などと躊躇し、緊急事態を宣言しなかったら、手遅れになってしまいます。政府は果敢に対応すべきで、模様見ではいけないと思います。この点では、日本に密入国した北朝鮮工作船を海保に追いかけるよう命じ、銃撃を加え、沈めるという措置を取った小泉首相は偉かったと思います。

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 上の写真は、小生の自宅近くの公園の桜。2週間前ほどに満開になった時のもの。春はやはり桜の景色が欲しい。