つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

北朝鮮の「試し行動」には困ったものだ

 頭を刈り上げた北朝鮮の青年独裁者には困ったものですね。発達心理学の中に「試し行動」というセオリーがあります。これは、2歳から4歳児くらいまでの子供が親に対し、自分をどの程度受け入れてくれるのかを探るため、してはいけないと注意を受けた行為を敢えて繰り返すことを表していますが、どうも刈り上げ君のやり口を見ていると幼児性の「試し行動」と思えてなりません。
 国際政治を冷静に分析し、常識的に考える人であれば、世界最大の国米国に対し挑発的な行動を繰り返すことが理に適っていることかどうかすぐに判断できるはずです。つい最近までの国際情勢を見ても、米国に侮蔑的発言をしたリビアの指導者カダフィー大佐、イラクサダム・フセイン大統領がどんな末路を迎えたか、大方の知識人は理解しているはずです。
 米国は誇り高い国ですから、他国指導部が露骨に攻撃するような言辞を繰り返していたら、長くは容認しません。1986年、ドナルド・レーガン大統領がリビアを突然空爆したように、9・11の被害を受けたジョージ・ブッシュ・ジュニア大統領が2003年、イラクに戦争を仕掛けたように、嫌な指導者つぶしに出る可能性はかなり高いのです。
 で、米朝戦争になったらどうなるか。北朝鮮は「全面戦争には全面戦争でこたえる」と叫んでいるけど、本気で全面戦争をやれるのか。これはあまりにも夜郎自大と言わざるをえません。核兵器があるからと言ってオールマイティ―ではありません。戦争は総合国力です。今の北朝鮮のあり様は、大相撲にたとえれば、幕下力士が「おれはこんなすごい技を持っているので横綱にも勝てる」と言っているに等しいでしょう。
 歴史を見ても、1941年に日本の東条英機軍人政権は、米国の力を見誤って、いや日米の国力の違いをわざと見ないようにして対米戦争に踏み切りました。もし、日本が本当に勝つつもりでいたとしたら、それは無謀な判断であったとしか思えません。当時の日米の差に比べて、今の米朝の差はさらに大きいでしょう。ミサイルがあるからとか核兵器があるからと言って大国になったような気になるのは危険です。
 「キジも鳴かずば撃たれまいに」という言葉があるように、北朝鮮の刈り上げ君も大陸間弾道弾を造るなどと言って米国を挑発せず、おとなしくしていれば米国側もそれほど敵視することはないでしょう。それをなぜか超大国にちょっかいを出したがる。これは、独裁者が国民に対し指導力を誇示するためにやる、仕方のない「試し行動」なのかも知れません。
 米朝が互いに脅し合いのチキンゲームをしている段階ならまだいいでしょう。ですが、チキンゲームが高じれば、スカーミッシュ(小競り合い)が起きる恐れもあります。そうなれば、その時点で金王朝が破滅し、自身の豊かな生活どころか命さえ危ぶまれる事態になります。いつも強気の刈り上げ君もその辺の冷静な判断力は持ってほしいと思います。


 上の写真は、群馬県草津温泉の雪原風景。標高1200メートルもあるので、4月初旬にまだこのくらいの雪が残っていました。