今日、日経新聞の一面コラムを見ていたら、高校野球にタイブレーク制度を導入することが決まったと報じていました。その話は今朝、TBS番組サンデーモーニングでも張本勲さん、高木豊さんが取り上げ、批判していました。結論を先に言えば、張本さんらがご指摘のように、小生も限りなくつまらなくさせるルールだと思います。
推理小説を読んでいて、導入部や展開部がなく、いきなり最後に主人公の探偵が事件のあらすじと犯人を話すようなことがあったら、面白いはずがない。なんでも、端折ってしまうことは一見合理的であるようですが、実は限りなくつまらなくさせることを忘れてはならないでしょう。
高校野球では、延長戦に入ってノーアウトで一塁に走者が出た場合、次打者の犠牲バンドによって走者進塁を狙うのがセオリーです。だが、次打者がすでに複数安打を打ち、ピッチャーにタイミングが合っているのであれば、監督は迷うところ。結局はバンドを選択することになるでしょうが、、。
ワンアウトで走者が一塁に出たら、どうするのか。こちらはもっと監督を悩ませる状況だ。強打者ならそのまま打たせるだろう。ただ、併殺を恐れ、バンドで送ってツーアウト2塁で次のバッターに託すケースもあり得るし、ヒットエンドランもある、いろいろな選択が考えられます。
監督采配の妙味が感じられる場面です。それなのに、最初からワンアウト満塁か、ノーアウト1、2塁かの設定は知りませんが、あらかじめ塁に走者を出してバッターがヒットを打つか打たないかだけに試合のすべてを任せてしまう。あまりにも安易で、野球の面白味を削減させると思います。
しかも、この制度はかなり後攻めのチームが有利になりましょう。女子のソフトボールでは、体力の消耗を防ぐためか、以前から導入されていますが、感心できるルールではないなと思っていました。野球をソフトボールのルールに近づけさせてはなりません。
同じように、米国のメジャーリーグでは、ベンチが投手にフォアボールを指示する時、4つ投げなくてもいきなりアンパイアの同意を得てバッターを一塁に歩かせることが可能になりました。これもナンセンス。4つ投げる中に新たなドラマが生まれる可能性もあるのですから。
その昔、阪神の新庄剛志選手は四球の球を三遊間にヒットしたことがありました。いい加減に四球ボールを投げると暴投になることもある。何が起こるか分からないから、野球はドラマになるのです。「四球とは要はバッターを一塁に歩かせることだろう、ならば4つ投げる必要ないじゃん」という安易な方法は取らないでほしい。限りなくドラマの味わいの部分を失います。
上の写真は、播州赤穂城の郭内にある大石内蔵助邸の長屋門。