つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

貴乃花の記者会見の笑顔って違和感ある

 昨日、テレビを見ていたら、大相撲の貴乃花親方が記者会見の場に登場していました。3月春場所番付で新十両になる貴公俊の陪席でしたが、終始笑顔で上機嫌そう。しかも能弁に語っていました。これを見ると、これまで貴乃花部屋の前で記者に囲まれてブスっとしていて、何も話さなかったのはいかなる理由なのか、聞きたくなってしまいます。自分の都合のいいときだけ出てきて、好ましい話題にだけ答えるという姿勢は、”人気商売”の関係者としては失格だと思います。
 貴乃花部屋は、今三役の貴景勝のほか、十両貴公俊の弟の貴源治がいて、さらに初場所全休でも十両の地位が保障された貴ノ岩がいます。これで3月場所の貴乃花部屋は、いわゆる関取が4人になるわけです。50近くある相撲部屋の中で4人以上の関取(給与がもらえる力士)を抱える部屋はそう多くない。その点からすると、貴乃花というのは、相撲取りとしても一流でしたが、弟子を育てる師匠としても一流なのかも知れません。
 ただ、昨日も感じたことなのですが、親方となってからの貴乃花の発言ってなんか嘘くさい。真実味が感じられない、薄っぺらな感じがしてしょうがない。こんな風に感じるのは小生一人でしょうか。貴公俊のことについては能弁に語っていましたが、肝心の一連の事件への態度、自分が沈黙した理由、相撲協会理事選について語るところはテレビに登場しませんでした。
 これは恐らく貴乃花側から質問は貴公俊関係に限定するとあらかじめくぎを刺されているか、あるいは理事選その他の話もするが、その場面についてはカメラを回さない、つまり、オフレコの場にするという約束があったからだと思われます。小生も記者出身なので、そういう経験はしていますし、取材される方もなるべく都合の悪いところは公にしたくないというのも分かります。
 ただ、記者にしても、視聴者にしても、新十両貴公俊のことなどより、貴乃花親方のこれまで取ってきた態度の理由、貴ノ岩関の現在の容態や稽古、生活模様、理事選予測の方がよほど関心があったでしょう。ですから、少なくともテレビに登場する場面でそうした大方の視聴者の持つ疑問点に少しでも触れるようなところがあっても良かったように思います。取材する側も、貴乃花側もそういう演出ができなかった分、ものすごい違和感を感じました。
 一昨日夜、貴乃花一門親方たちの寄り合いが神楽坂であって、相撲協会理事選に臨む一門の対応を話し合ったようです。錣山親方(元関取寺尾)も参加していましたが、彼は料亭から出てきた時、記者の質問に笑顔で丁寧に応対していました。会議の中身については、約束があるためか、明らかにしませんでしたが、それはそれでいいと思います。要は態度の問題です。
 寒い中、じっと外で待っている記者と会話をするというのが取材される側の思いやり、人気商売の関係者のある種の使命だと思います。もし貴乃花が部屋の前で待つ記者たちに「ご苦労さま。話すこと何もないし、あってもできないけどね」などと話しかけ、事件とは関係ない雑談に応じるだけでも記者の心はなごみますし、貴乃花に対し親しみを持ちこそすれ、不快感は持たないでしょう。
 それなのに、貴乃花は部屋の前の記者たちに何の思いやりも見せない、そのくせのうのうと記者会見を開き、弟子のことに関しては能弁に語るという姿勢。そのギャップに驚かされます。それを許しているマスメディアも悲しいし、翻弄される記者も悲しい。小生も記者出身なので、記者の心情はよく分かります。不快感を感じた取材対象についてはその後良く書こうとは思いません。いやむしろ揚げ足を取る方に回ってしまうかも知れません。

 上の写真は愛犬マオ。