女子体操界における塚原光男、千恵子夫妻と宮川紗江選手のバトルは、最初 速見佑斗コーチの暴力事件、パワハラ問題から始まりましたが、宮川選手がコーチの暴力は認めたものの、パワハラを否定。さらに記者意見を開いて、逆に塚原夫妻のパワハラを提起するなどめまぐるく変わってきました。この記者会見のあと、塚原夫妻の体操界における横暴さが暴露され、徐々に不利になったかと思いきや、テレビで古手の宮嶋なるテレビ朝日出身の元女子アナが「夫妻は良い人」論を展開、週刊誌でも擁護論調が出てきました。
貴乃花親方関連の騒動の時も、最初は貴ノ岩の暴力事件が問題になりましたが、その後に貴乃花親方の相撲協会に対する態度が問われ始めました。それでも、テレビのコメンテーターである落語の立川志らく師匠などはいつまでも貴乃花の行動の正当性を主張していました。我が国は言論の自由のある国ですから、いろいろな見方、意見開陳があっていいと思います。でも、塚原夫妻(というか、彼らに支配されている体操協会)と貴乃花の2人の当事者の行動で共通していることがあります。それは、当然やらなければならない肝心なことをしていなかったという点です。
速見コーチに暴力、パワハラ問題があるとして指弾するなら、体操協会はまず初めに当の宮川選手から事情聴取しなければなりません。外からでも暴力行為が見えたと言っても、それはあくまで”傍証”でしかありません。現に、宮川選手は記者会見で、いささかの暴力があったことを認めながらも、許容の範囲だとしていました。であれば、2人の間では、それは暴力事案として存在しないのです。速見処分の前に宮川選手に聞かなかったのは、筋を通していないと指摘されても仕方ないでしょう。
貴乃花騒動というか貴ノ岩殴打騒動の時の問題は、貴乃花親方が上部団体の相撲協会を通さずにいきなり警察に届け出たことです。これもこのブログで以前触れたことですが、組織内のことでの争いであるならば、まずその組織の然るべき部署に報告するのが道理です。組織の対応が不十分であると感じたなら、改めてその後に警察にでも、弁護士にでも相談すればいいのです。これもヤクザ風の言葉で言えば、筋を通していないということになります。
面白いなと思ったのは、今週号の週刊文春と週刊新潮の対応の違い。文春があくまで宮川、速水寄りなのに対し、新潮は速見暴力事件を強調、塚原千恵子良い人論を展開し、夫妻擁護のトーンになってきました。でも、これは筋論とは全く関係ない単なる小生の印象ですが、塚原夫妻の顔や態度を見る限り、どう見ても何か一定の利益を図るために一定の意図をもって動いているという感じを受けます。
自ら顧みて直くんば、千万人と雖も我行かんではないですが、自身の行動の正当性を世間に訴えたいと思うなら、プリントなどで済まさず、正々堂々と記者会見を開いて主張すべきです。その点では、塚原夫妻と一切マスメディア取材に口を閉ざした貴乃花の行動様式は似ています。メディア取材からこそこそ逃げ回るのは、自らいささか、わだかまるもの、忸怩たる思いがあるからでしょう。これに比べたら、嘘八百を並べるにしても、堂々と記者意見を開いた日本大学アメフト部監督とコーチの方がまだ立派です。
上の写真は、2017年、つまり昨年撮った愛犬マオの姿。1年しかたっていないのに今は随分年寄りになりました。