つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「いずも」はれっきとした航空母艦だ

 中期防衛力整備計画(2019−24年度)の骨子案によると、海上自衛隊が持つヘリコプター搭載型の護衛艦「いずも」がステルス型高性能戦闘機も搭載できる形に改修されるそうです。戦闘機搭載となると、これはれっきとした「航空母艦」だとして、一部の人は「専守防衛を逸脱している」と文句を言っていますが、小生に言わせれば、この論は国の安全保障などみじんも考えない愚かな考え。いまだにそのように考える人がいるのかと思うと、暗澹たる気分にさせられます。
 実は、政府は認めていなかったのですが、ヘリコプター搭載段階でもれっきとした「航空母艦」でした。ヘリにもアパッチ型のように十分攻撃的なものもありますから。中国などは早くからこの「いずも」に注目し、日本はすでに空母を持っているとの認識を示していました。ここにさらに、F−35B戦闘機が載るとなれば、中国に言われるまでもなく、これはどう見たって空母であり、政府は言い逃れできないと思います。
 特に、搭載機のF−35Bはレーダーにひっかからないステルス型であると同時に、短距離で離陸でき、しかもハリアーのように垂直に着陸できる、いわゆる高性能のSTOVL機。ですから、「いずも」程度の艦の長さでも十分に離発着できます。中国が今、すでに配備済みの「遼寧」に加えて数隻の空母を建造しているのですから、日本が対抗上、空母を持つのは当然でありましょう。
 空母は専守防衛に反すると主張する人がいるけど、実にばかげた議論です。防衛というのは、基本的に相手に報復力を持たなくては成り立ちません。核戦略上に「相互確証破壊」という言葉がありますが、これは相手が核兵器を使用したら、わが方も核兵器で報復するという考え方。つまり、相互に報復力を保持していることで、核抑止力が働いているのです。
 核戦略だけでなく、通常兵器においても、一方的に攻撃されるのを防ぐだけという戦略思考はありません。お前がこちらを攻撃するなら、こちらも相応の攻撃をそちらにするぞという態勢を取っていればこそ、相手に戦端を開かせることをためらわせるのです。ですから、「いずも」は空母であり、F−35Bは敵基地を攻撃できる能力があるのだとむしろ喧伝すべきで、それによって周辺国は我が国の防衛力を十分に認識するはずなのです。
 それなのに、おかしいことに政府はいまだに「いずも」が攻撃型の空母ではないと主張、F−35Bの位置付けも明確にしていません。周辺国に余計な懸念を与えないというほかに、憲法を盾に取って攻め立てる野党への対応もあるのでしょう。でも、STOVL機の実体は見え見えなのですから、いまさら糊塗しても仕方がないこと。今は、敵基地攻撃力という言葉を使わないもまでも、報復力を持っていることが専守防衛なのだという点を明確にしてほしい。野党もつまらない「専守防衛論」を振りかざすのを止めてほしいと思います。


 上の写真は、西郷隆盛奄美大島竜郷に流されていたときの寓居と島の現地妻、愛加那を説明する碑文。