つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ゴーンはもう「チーン、なんまいだ」の状態

 元日産、仏ルノーCEOのカルロス・ゴーンの話題と言えば、金持ちのくせに欲深い奴だ、どれだけ金を貯めれば満足するのだろう、顔にやはりもともとの品性の下劣さが出ている、というのが小生の印象でした。ダジャレ好きの友人は、「ゴーンさんは集めた金をいったいどこに隠したのだろう」「それは、タンスの中に決まっているだろう」「どうして?」「だって、タンスにゴーンと言うだろう」との小話を作っていましたが、タンスではなく世界中の銀行に分散保有していることでしょう。

 ゴーンは逮捕、裁判に加えて、年末にさらに大方の予想外の事態を引き起こしました。保釈中の身でありながら、なんとプライベートジェット機の荷物に隠れてひそかに日本を脱出、トルコ経由で現在レバノンに逃亡したのです。これについて、関西落語家の桂文珍さんが早速面白い小話を作っていました。「除夜の鐘は108と数が決まっているが、今年はどうも107回の鐘しか聞こえない。どうしてだろう?」と思って、寺に問い合わせたところ、寺側は「そう107回でいいのです。最後のゴーンは海外に逃げましたから」。

 昨年は特に関西方面を中心に身柄拘束されている容疑者、被告、受刑者がシャバに逃げ出す事件が相次ぎました。日本の警察、検察機関はなんとドジなんだろうと思っていましたが、最後の最後でさらに大物の逃亡というおまけまでつけてくれました。15億円という途方もない金額を保証金として納めているので、関係機関は「まさか逃亡するなど…」と高を括っていたのだと思います。でも、世の中には上り坂、下り坂のほかに「まさか」という坂もあるということです。

 これで、ゴーンさんは二度と日本に戻ることはできなくなりました。いや、それどころか日本と刑事犯の身柄引き渡し条約を結んでいる国への渡航も難しくなります。場合によっては、代わりに逮捕され、日本に送還される可能性もあるからです。確かに、日本と今、引き渡し条約を結んでいる国は米国と韓国の2カ国だけで、EUなどは死刑制度があることを理由に条約締結を拒否しています。ですが、法制度で日本と同じ価値観を持つ友好国であれば、入国した場合、日本側の依頼を受けて、拘束して事情聴取などの何らかの対応を取ることでしょう。フランスを含めたEUもそうするかも知れません。

 今回の事件で、彼自身の国際的な信用度はがた落ち。スパイ映画もどきで国外脱出を図るような奴に、コンプライアンスを重視する有名企業が二度と経営など頼んでくることはないでしょう。となると、彼は生まれ故郷のレバノンか、青年期を過ごしたブラジルで余生を送るしかないのです。今、瞬時の自由を手にしたけれど、その後の人生は限りなく不自由なものとなりました。彼の人生は終わったようなもの、「(仏壇の鐘が)チーン、なんまいだ、なんまいだ」でなく、「(寺の鐘が)ゴーン、なんまいだ、なんまいだ」ということでしょう。

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 上の写真は、横浜・吉田町と野毛の間にあるハモニカ横丁(都橋商店街)。小生がたまに飲みにいき、カラオケをするところ。