つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

銀座時計店の強盗事件は「やがて哀しき鵜舟かな」

 強盗という犯罪って冷静に損得勘定で考えれば、犯人にとってほとんど割りの合わないことが多いのです。が、最近の風潮を見ると、それでも近視眼的にそれに突っ込んでくる若者がいることに驚かされます。記憶に新しい先般の銀座の時計店での強奪事件。まだ人通りがある夕方、大胆にもガラスケースをぶち破って高級時計を強奪し、停めてあった車で逃走しました。誰が撮影したのかは分かりませんが、この犯行は一部始終動画で撮られていました。第3者から見ると、まるで映画の一場面のように思われ、驚くと同時にこんなことをする人間がいるのかと可笑しさもこみあげてきました。

 第一感は、そもそも日本一の有名商店街で、歩道にまだ人通りのあるうちに、あんな露骨な強盗を良く思いつき、実行したなという印象です。前にも書きましたが、こんな大胆犯行は一人や数人の仲間うちの談合だけではできません。この犯行に加わっていたのはすべて20歳以下のようですから、恐らく上からの強い指示があり、その筋書き通りに動いているからこそできたのでしょう。そういう意味で、警察当局には、あの東南アジアからの指示で日本で詐欺や強盗を繰り返していた「闇バイト」連中とともに、徹底的に組織の解明をお願いしたいと思います。

 それにしても、犯行の手口が単純で、滑稽すぎる。大勢の見ている前でガラスケースをぶち壊すとなれば、すぐに警察が駆け付けることは誰でも分かります。その上、逃走用の車両も、ナンバーが付け替えられているとは言え、型式は動画に残されているので、ドローンなどを使えば追尾は簡単。逃げおおせるわけがない。案の定、連中は赤坂の住宅街に追い詰められ、逮捕となってしまいました。バカな連中です。いかに未成年とはいえ、これで実刑を食らい、刑務所に5年以上入ることになるでしょう。少年院は不定期刑ですが、そのくらい入るかも。

 彼らはたとい5年で刑務所、少年院を出てきたとしても、20歳台からその後長い人生が待っています。強盗の過去があるとなるともう正業には就けないでしょう。恐らく裏街道を歩んでいくしかない。しかし、ムショ内では殺人、傷害は”評価”されるものの、モノ取りは突っ込み(強姦)の次くらいにバカにされる対象。ムショでバカにされ、シャバに出て裏街道でもバカにされるとなると、彼らの人生はその後重い足かせを引きずって歩まざるを得ないのです。

 銀座時計店でガラスケースをぶち破ったガキどもは、果たしてあの犯罪が成功すると思っていたのか。時計を奪って逃げおおせると思っていたのか。逮捕された場合の将来の足かせまで含めて、その辺の損得勘定を考えていたのか。冷静にそういう視点で見ると、なんともバカげたことをしたものかとこちらは思います。ただ、この事件で心残りなのは、奪われた時計のすべてが出てきていないこと。犯行グループのうちの1人が一部の盗品時計を持って途中で車を降り、逃げたのでしょう。

 恐らく、そいつが現場の指示役だと思います。いずれ最高指示役が待つ海外に逃亡、高級時計をそこで処分するのかも。日本では贓物故買罪があり、型式が分かっているので売買はできませんが、海外では何とかなりそうですから。この主犯と思しき人間は、これまでのメディア報道でもまったく謎に包まれており、輪郭が出てきません。その辺は闇バイト、ネットでつながった人間関係なので、逮捕された実行犯も本当に知らないのかも知れません。それがネットでつながった彼らの”メリット”なんでしょう。でも、いいようにコキ使われ、捕まったガキどもは悲しすぎる。

 それにしても、昨今、強盗事件が多すぎます。犯罪の顛末、一部始終を理解しないうちに未成年が安易に手を染めるのはネット時代の悪しき傾向なんでしょう。でも、親も学校教育も、”その後の人生”まで含めて事の重大性をしっかりと教えないと、「おもしろうて、やがて哀しき鵜舟かな」という状況になる若者が後を絶たないように思います。

 上の写真は、横浜・伊勢佐木町モール近くの商店街にある店。タイレストラン「スパイ」という店名は面白い。下は有名なジャズバー。