つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

スキャンダル続出の御曹司は嫌われ者だったのかも

 昔から「貧すれば、鈍する」という言葉がありますが、今の岸田翔太郎・元政務秘書官を見ていると、「富しても、鈍する」ということになるのかも知れません。要するに、何苦労なく育ってきて、この先も親父の後を継いで政界に出ることが約束されている人生なので、苦労などないし、感じることもないでしょう。でも、こういう人間はどこか間が抜けているというか、他人、世間への配慮などということを気に留めないのかも知れません。そこで思わぬ落とし穴が待っているのです。

 慶応義塾大学法学部政治学科卒業の小生の友人がいます。私学の名門であり、ここの卒業であるのは自慢でもあるのですが、本人は自嘲気味に「低能未熟大学阿呆学部お世辞学科」出身などと話しています。岸田首相の御曹司もこの学歴のようです。もっとも、友人のために弁護するならば、私立大学は学生数が多く、同じ学部の同学年生でも数百人規模でいます。小生の友人のように優秀な奴は限りなく優秀ですが、駄目な奴は箸にも棒にもかからない人がいます。というのは、小生も経験したことですから。

 小生、かなり前に早稲田大学のある学部で、サバティカル(1年間の研究期間)でいなくなった中国語の先生の代わりに「中国語読解」の授業を持ったことがありました。最初の授業で中国語文を渡し、日本語訳にするよう指示しました。そこで返ってきたのは、小生よりうまい翻訳をする学生もいれば、なんだかまったく文法が分かっていない翻訳文もありました。私学って学生数が多いので上下ですごい差があるんだなと改めて感じました。でも、優秀な学生に合わせて授業をし続けたら、秋学期は受講者が激減してしまいましたが……。

 岸田翔太郎氏の授業の優秀さが上下のどちらであったかは不明です。が、苦労知らずですから、少なくとも世間の学習はしてこなかったようです。最近テレビのニュースで出てくる彼の顔を見ると、厳しさが感じられません。世間知らずは学生時代ならともかく、今は30歳を過ぎた大人です。それなのに、自らの立場への理解を十分しているようには見受けられません。自らの立場の理解というのは、首相という存在は絶えず批判、監視にさらされるし、その親族もまた同様である、加えて本人が政務官なる公職にあるという認識です。

 でも、敢えて彼のために弁護します。公邸内で親族だけで酒を飲んだのなら、その勢いで、「おう、みんな、閣僚が記念撮影する赤じゅうたんの階段に行ってみないか」くらいなことを言うことはあるでしょう。親族内の”秘密の行動”なら本来問題なかったと思います。問題なのはそこで写真を撮ったこと、さらに問題なのは、誰かがその写真を外(週刊誌)に流したことです。漏洩を抑え切れなかったという意味では、元秘書官自身の”不徳”の致すところではないでしょうか。普通、岸田家の失態になりそうな、こんな写真を親族が外に出すことは考えれられないので。

 昨年、御曹司にとってもうひとつ問題になったことがありました。彼が海外で公用車を使って観光や土産物を買いに出たとのこと。週刊誌は鬼の首でも取ったように報じましたが、ある官僚OBに言わせると、こんな公用車使用は別段異常でなく、通常ありうることだそうです。それをさも異常なように週刊誌に書かれたのは、御曹司が官邸、あるいは外務省、大使館内外の人から相当嫌われていたことが考えられます。それで、彼を貶めようとするモメントが働き、悪意をもってタレこまれたということかも。

 想像するに、御曹司は日常、虎(首相)の威を借るキツネで、絶えず周囲に偉そうに振る舞っていたか、他人に配慮しない無神経男だったのかも知れません。嫌な奴だと思ったら、周囲の人間はいつか揚げ足を取ろうと狙います。彼が本当にそんな男だとしたら、これも不徳の致すところでしょうか。周りに嫌われたら、将来、親父を引き継いで政界に出るのは難しいのかも知れません。

 上の写真は横浜・伊勢佐木町モール周辺のバス通り脇に咲いた香港花ランタナ