先般、BSフジテレビのプライムニュースに、立憲民主党の泉健太代表と維新の会の馬場伸幸代表が出ていて論戦していました。馬場代表が「共産党など要らない」と言ったことを泉代表は「政党の存在の可否などついて他党は言及するな」と厳しく批判していましたが、小生は馬場代表の言い分に一理あるかなと思います。というのは、共産党は過渡的には民主主義制度下での「健全なる野党」、政権批判勢力の結集を目指していますが、究極的には共産主義体制と、その中での一党支配体制を求めており、最後には他党の存在を認めない政党なのです。
共産党は現時点でも、綱領に日米安保体制の否定、天皇制の廃止や自衛隊の解散などを掲げている政党です。民主主義を標榜する政党であるならば、やはりこうした独善的、他政治体制、思想排除的な政党の存在は認めるべきでないという馬場氏の考え方は分かります。泉代表は番組で共産党をかなり援護していましたが、これは衆院の小選挙区で共産支持者の票が欲しいというさもしい根性から出たものでしょう。分からなくもないが、こうした他の政治体制、思想排除的な政党と組むと、長期的にはかならず共倒れになることを泉代表は理解できていないようです。
それはともかく、このブログでも再三取り上げていますが、衆院小選挙区の区割りの見直しを伴う一票の格差是正はもう止めたらどうでしょうか。今回も10増10減の新区割りができました。日本のように人口流動の激しい国では、衆院小選挙区などでは毎回毎回区割り変更をしなくてはなりません。先進国ほど第3次産業が発展し、その仕事を求めて都会に多くの人が集まってくるのは必然。それで、都会選出の議員ばかり多くなる一方、地方はますます過疎化が進み、選出議員数は減っていきます。そんな議員構成で果たしていいのでしょうか。
先日、北海道北端の稚内、利尻、礼文両島に行ってきました。驚くことに、両島への定期船が出る稚内市の人口は現在、わずか3万人ほどなんですね。小生は大都市だと思っていましたが…。産業と言えば漁業と観光業しかないし、しかも観光の目玉が、有名な最北端の岬のモニュメントのほかに、かつての樺太航路の始発港の記念碑であったり、横綱大鵬が樺太から引き揚げてきたという記念碑であったりというのもちょっともの悲しい。
さらに利尻島はかつて2万人の人口だったが、今では2000人ほど、礼文島は1万人いたが、今では1000人ほどの人口だそうです。2次産業がないので働く場がない。それで、ますます人が住めなくなっていきます。観光だけでは雇える人は限られています。そしてその土地で育った若者は他地域、特に都会に出ていかざるを得ないのです。
やはり、地域振興にはその地域を代表して主張する議員が絶対に必要です。北海道選出の議員が多ければ、それだけ地域振興のための施策を考えるでしょう。小生は、現在の中国に見られる無尽蔵の高速道路、高速鉄道の建設のような無駄な公共施設建設には賛成しませんが、地域振興のためには国の金を地方に持ち込むのは必要だと思います。国の地方交付税やふるさと納税などの方策がそれに当たります。
でも、都会の一極集中を止め、人口を地方に分散させるためには、地方に産業を作りださなくてはなりません。人口分散と言っても、収入なくて生きていくわけにはいきませんから。かつて利尻、礼文島ではニシン漁で大金持ちになれる時代があったそうですが、今ではそんなことは望むべくもない。ごく少数の専業者を除いて、もう農漁業に頼るのは無理でしょう。移住者が自家農園や自分で食べる程度の漁だけなら可能でしょうが、それだけでは都会並みの十分な収入は得られません。やはり、若者が定着するような新しい産業を構築しないと。
半導体の先端メーカー「ラピダス」が北海道千歳市に新工場を造るし、台湾の半導体製造企業「TSMC」も熊本県の田舎に工場を造ります。良い傾向だと思います。特に先端系の産業はどんどん地方に出ていくべきだと思います。一部の第3次産業も地方に出ていくケースが見られます。大阪、神戸に近い淡路島にはいくつかの企業が移っているとか。これも良い傾向ですね。
それで思い出したのは、2，3日前の日経新聞に掲載されていた記事。都会でのオフィス需要が減っており、東京でも6・4％の空き室率であるということでした。小生思うに、これも良い兆候です。企業が徐々に地方に拠点を移していっている証左かも。今はPC、ネットで十分テレワークができるので、一般企業の労働者がコストの高い都市やその周辺に住み、毎日満員電車に詰め込まれて通勤する必要はないでしょう。そうした状況を防ぐためにも、人口、企業の地方拡散が必要。ばかな一票の格差是正を止めて地方の声が国政に反映できるような政治システムにして欲しいと思います。
上の写真は、小生が毎朝散歩する横浜・野毛山公園の中の無窮花（ムグンファ）。韓国の国花だそうです。
