つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

人間の自己顕示欲をセーブするのは難しい

 内人の話によると、横浜駅のコンコースで、顔を白塗りし、髪を金髪にしてフランス人形のような衣装を着けた年配の女性(年齢は恐らく60歳以上)が歩いていてびっくりしたとのこと。そう言えば、昔、関内駅近くの馬車道通りに、同じような格好をしたメリーさんというおば様が出没していたのは有名な話です。そんな恰好をしていれば、だれでも振り向くし、注目します。で、当人は周りの視線を感じ、恍惚感に浸っているのでしょうか。一種の自己顕示欲です。

 その昔、銭湯でものすごい彩色の入れ墨をしたおっさんを見たことがあります。わざわざ銭湯に来るというのは他人に見せたいんでしょうね。入れ墨は威嚇もあるんでしょうが、所詮見せびらかせの仕掛けで、これも自己顕示欲。最近では、手足や肩にワンポイントのタットゥーを入れている若い女性も見かけます。西洋の物真似でファッション感覚になってしまっているのが恐ろしい。小生は肌をキャンパスにすることなど大嫌いなので嫌悪感を持ちますし、もし子供や孫がいたとして、タットゥーなどをやると言ったら、殴り倒すか、勘当ものでしょう。

 それはともかく、話を自己顕示欲に戻します。小生のマンション近くの道を深夜、高い音のクラクションを鳴らす車やエンジン爆音を鳴らし続ける二輪車が通ります。他人の迷惑を考えずどうして深夜にこんな音を出すんだろうと不思議に思いますし、他人事ながら、ドライバー本人がこれで難聴にならないかと心配にもなります。よくよく考えれば、これも一種の自己顕示欲なんでしょうね。人間、生きている限り、どこか自分の存在を認められたい、俺はここにいるぞというアピールをしたいんです。

 昨日の阪神優勝後の心斎橋、戎橋界隈もそうでしたね。大阪府庁や警察が道頓堀川に飛び込むなと言っているのに、橋の上からでなく、川沿いのプロムナードから5人程度が飛び込んだとか。あの川は側壁がのっぺらぼうであり、どこかをつかんで這い上がることができないそうで、以前の優勝時には死人も出ている危険な川なのです。ですが、それでもダイバーがいるということは、やはり大勢が見ているところで目立ちたい、注目を集めたいという御仁がいるんでしょう。

 そして、来月10月末はいよいよハローウィンのシーズン。渋谷区は早々と「来ないでくれ」と宣言を出していますが、若者がこのイベントを楽しみにしている以上、仮装での参集は止めろとも言いにくいでしょう。仮装した以上は誰かに見せたい、誇りたいという顕示欲は誰にでもある。千葉、埼玉、神奈川の田舎の駅前で少数の人に見せるより、やはり大都会の渋谷駅前のスクランブル交差点、センター街に行きたい、仮装を競いたいという気持ちになるのは自然です。ですから、禁止してもやはり”聖地”渋谷に人は集まるんです。

 本来、他人の迷惑となる自己顕示は御免願いたいものですが、でも抑圧一辺倒の中国、ロシア、北朝鮮でもあるまいし、若者の顕示欲の熱気を抑えるだけでは問題の解決にはなりません。で、どこかで折り合うしかないんです。道頓堀川への飛び込みを禁止するのではなく、飛び込みは奨励しないものの、万一飛び込んでも安全なように側壁に手すりを付けるとか、見えないところに救急ボートを用意しておくとか。渋谷では、ごみの散らかしがないよう、花見時期の上野公園のように大きなごみ箱を用意しておくとか。入って欲しくないビルの谷間には進入禁止のロープを張るとか。

 渋谷だって普段は人が集まってなんぼの盛り場。であれば、ハローウィンの時だけ来るなっていうのは、ちょっと殺生、乱暴な感じがします。いつものDJポリス・スタイルでいいんじゃないですか。やり過ぎをいさめる形でいいんじゃないですか。ハローウィンで渋谷に人が集まらなくなったら、やがてセンター街もすたれていってしまうかも知れませんよ。

 上の写真は、横浜野毛界隈で見たランタナの花群。下の方は福島・一切経山で見た竜胆。