つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ジャニーズJr性被害者への罵詈雑言とは何事か

 長く生きていると世の中面白いこと、意外なことが次から次と起こるから、癌を患ったからといっても簡単には死ねません。これまでテレビ界、芸能界で一世を風靡していたジャニーズ事務所が今や一転、非難轟轟の対象。男性グループがこれでもかこれでもかと登場し、次々に圧倒的な人気を誇ってきたのに、今は完全に萎み状態になっています。まあ、これまでジャニーズタレントを有効に使ってきたテレビ界にとっては実に残念な事態かと思います。

 先に私見を言わせてもらえば、小生はジャニーズのタレントが嫌いではありません。小生がファンであるNHK大河ドラマでも、東山紀之香取慎吾滝沢秀明岡田准一、今やっている徳川家康松本潤と主役を張っていて、それなりにこなしていると思います。とりわけ黒田官兵衛をやった岡田准一は演技抜群で印象深い。何、この男もともとジャニタレか、男声コーラスグループの一員で、昔、歌歌っていたのかと出身を知って不思議に思ったくらいです。

 大河じゃないけど東山紀之の「大岡越前」も良かった。時代劇ではこの男なかなか重みがあるし、好演する。という意味では彼がジャニーズ後継新会社の社長になって芸能界の表舞台から離れるというのは実に残念です。テレビ界は、特に時代劇で貴重な逸材を失いました。いずれにしても、皆さん個性豊かでNHKが主役に抜擢するのはむべなるかな、単に芸能事務所の圧力ばかりでなく、タレント本人の実力もあったかなとも思います。

 それはともかく、先日の記者会見で井ノ原快彦副社長が冒頭言っていましたが、今、性被害を受け、事務所告発に出ている被害者の会の人たちに対し、ネット上で悪口雑言が凄まじいとのこと。詳細は分かりませんが、文句を言う連中は恐らくジャニタレのファンか芸能界関係者であり、彼らは「”こんなこと”でジャニーズ事務所をつぶしていいのか、告発したお前らが悪い」「タレントで売れなかったから、性被害で補償金が欲しいのだろう」というような趣旨での批判かと思います。

 でも、これって本末転倒の論理です。タレントして伸びる原石でありながらも、性被害を受けてこんな事務所にいられないと辞めていった人も相当数いるはずです。親には言いにくいでしょうが、言えば親は「我慢しなさい」とは返せない。すぐに「そんなおぞましい社長、事務所なら辞めなさい」となるでしょう。と言う意味では、「タレントで売れなかったから」という理由付けは通用しません。逆に、事務所にとっては早々に良い原石を失う残念な結果になったということでしょう。

 被害者の会の人たちに罵詈雑言を浴びせる人たちってどういう心理状態なのだろう。その光景は不思議です。「タレントして活躍できるんならちょっと触られたぐらいでなんだ。我慢しろ」と言いたいのか、それとも「喜多川氏はもともとその趣味の人なのだから、分かっていて事務所に入ったのだろう。それをなぜ今さら」と言いたいのか。あるいは、「大好きなタレントの所属する事務所を壊すような奴は許さん」という単純で、勝手な気持ちからか。

 男性グループのファンであれば恐らく女性が多いのでしょうが、もし女性が被害者に対し罵詈雑言を浴びせていたとしたら言語道断。自分が性被害を受けた時のことを想像してみたらいいと思います。それとも異性からでは嫌だが、同性からでは性被害にならないだろうとの考え方なのか。成人なら打算が働き、一定の我慢ができることはあっても、性的なことが何も分からない子供であれば、やはり理解できない、許せないことではありませんか。

 上の写真は靖国神社の大鳥居と千鳥ヶ淵戦没者墓苑へ行く途中の風景。8月の終わりのころで、靖国にもそれほど多くの参拝者はいませんでした。