つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

人質保護より独立国家維持を優先するに違いない

 イスラエルハマスの戦いはどうやら泥沼に入り込みそうです。ハマスが人質を取ったこと、それが3桁になる数であり、しかも世界的に喧伝された。人質の家族の中には公然と海外メディアを使って世界に向かい「救ってほしい」と訴える人まで出ました。どうやら、今のところ、ハマスの策略はうまくいっているようです。イスラエルハマスせん滅を目的にガザ地区への軍事侵攻を考えていますが、大量の人質との兼ね合いでのその作戦開始をためらっているようです。

 これまでもハマスに限らず中東のテロリストはイスラエル人の人質を取ることがありました。バスジャックしてそこの乗客全員を人質としたり、有名人を人質にしたり。でもこれまであまり世界的なニュースになっていなかったので、イスラエル政府はすぐに特殊部隊を出して救出作戦という形のせん滅戦を展開。事実上、人質が犠牲になってもテロリストの要求に屈することはありませんでした。結果、イスラエル人はこれまで人質になって犠牲になっても諦めるしかないという境遇に置かれていたと思います。

 日本で1970年代、赤軍派日本航空機が乗っ取られ、人質が取られた時に、時の福田首相は「人命は地球より重い」とかなんとか言って、相手が、国際テロ事件と全く関係ない日本にいる死刑囚の”解放”を要求すると、これに応じ超法規的な措置とやらで身柄を引き渡し、挙げ句に多額の現金まで渡してしまいました。正直、法の支配がある主権国家にとっては屈辱的な対応であり、小生は当時、すでに記者をしていましたが、個人的には絶対あってはならないことだと思っていました。

 少なくとも小生は「人命は地球より重い」とは思っていません。今でも、「人命より重いものは他にある。領土、制度を守る方が重要。そのためにいささかの犠牲があっても致し方ない」と思っています。へんなたとえで恐縮ですが、「人命が地球より重い」と言うなら、人質を取ったテロリストが「日本の領土の一部を寄越せ」とか「日本の議会制民主主義を止めろ」と要求したら、それに応じるのか。超法規的な国内死刑囚の放免、釈放、現金の提供というのはこれに等しいくらいの要求だと思います。

 しかも、こんな要求に一回でも応じれば、味をしめたテロリストは必ず2回、3回と要求を続けます。実際にその後もハイジャック事件があり、日本政府は再び同じような要求をされ、その通りに応じていました。なんとばかな対応を取ったことでしょう。世の中すべて平和だと酔いしれていて、こんな事件があるわけないと信じていた当時の自民党政府の汚点です。あるいは、この党の議員も幻想的な平和主義を吹聴する日本国憲法の前文に拘泥したのか。 

 1970年代初めまで、まだ今より露骨な侵略国がなかった時代だけに幻想的な平和主義思考が蔓延し、当時の日本国政府がもろ手を挙げてテロリストに屈し、屈辱に耐えることに対し世論も大きな反対がなかったように記憶しています。でも、今は状況が違います。ロシアのウクライナ侵攻があり、ハマスイスラエル領のキブツ侵攻がありました。これを見ても、平和を望む私に戦争を仕掛けて来るところはないのだから、われわれは軍備を持たなくともよいと思う勢力がいるとしたら滑稽の限り。無条件に現憲法の第9条は大切だと信じて疑わない人がいるとしたら、おめでたい限りです。

 という前置きで今一度ガザ地区ハマス問題を考えると、イスラエル政府は人質を取られているからといって妥協することは一切ないと思います。彼らはかつて流浪民族の弱さからナチスドイツに600万人の同胞を虐殺されました。今は主権国家と強大な軍事力を持っています。たとい人質の犠牲があっても主権国家を守ることの方を優先すると思います。

 上の写真は、野毛界隈の街角で見られたハロウィーン人形。