米大統領選で現職のバイデン氏が再選を辞退し、民主党候補の後釜としてカマラ・ハリス副大統領を推薦しました。まあ、共和党候補のトランプと公開討論した際に、きちんと対応できず、ほとんど痴呆症老人の風情を見せていたので、両候補者の人気投票でも一気にトランプ寄りになりました。そのため、民主党員からは「辞めろ」「降りろ」との大合唱があり、献金も集まらないようになりました。この期に及んだら、候補者辞退は止むを得ないのではないかと思います。
まだ民主党でハリスが正式に候補者決定したわけではないのですが、バイデンのほか、クリントン元大統領夫妻、ペロシ元下院議長、カリフォルニア知事や地方の重鎮、さらには民主党に対し隠然たる影響力を持つハリウッドの俳優、国際的な歌手などがいち早くハリス支持を表明しました。ちなみに、民主党で最大の力を持つバラク・オバマ元大統領はこの時点でまだ「ハリス支持」を表明していません。巷間では、奥方のミシェル・オバマも大統領出馬が取りざたされているので、奥方に気を遣っているとの見方もあります。
ですが、民主党候補はハリスでほとんど決まりでしょう。つまり秋の大統領選本番では、トランプ対ハリスの争いになりそうです。ハリスとなれば、女性の候補者としてはヒラリー・クリントン以来。民族的に見れば、父親はジャマイカ系黒人であり、母親はインド系のエスニック人種で、ブラックアフリカの血を引くのはバラク・オバマ以来。米国人はすでに人口の半分以上が白人以外と言われており、そういう意味では、ハリスはまさに米国人口のマジョリティーを代表している人間なのかも知れません。
小生の意見を言わせていただければ、小生は自己中心、傍若無人のトランプが大嫌い。ですから、3年前にバイデンが就任したときは本当に良かったと思いました。就任式典でレディー・ガガが国歌を歌った時に「これでやっとトランプ時代が終わった」と感じ、本当に泣けてきました。バイデンは日本との同盟重視、地球温暖化、NATOでの提携など国際協調にも熱心だったので、2期目もぜひ続けて欲しいと思っていました。ですが、最近の痴呆ぶり、階段や舞台でコケるのを見ると、能力的、体力的に限界かなとも感じました。副大統領にその地位を譲ったのは自然でしょうか。
内人も話していたのですが、ハリスは大統領選の有力候補になった時から、ちょっと振る舞いが変わってきた感じ、何か自信を深めた顔つきになってきたようです。ウィスコンシン州での党員気勢集会でも、大衆を引き付ける風格も感じました。最初の女性大統領になってもおかしくない威厳さえ感じさせました。トランプは暗殺未遂事件の巻き添いで死亡した消防士の防護服を壇上に飾り、そこにキスする行動に出たけど、何か嘘くさい。彼の臭い芝居に比べれば、ハリスの大笑い顔の方が数段上だと思います。
ところで、トランプは相手がバイデンからハリスに代わったあと、表面的には気丈に振る舞っているけど、内心は恐怖におののいているのではないかと思われます。というのはハリスは元検察官、その後にカリフォルニア州の司法長官をしており、法律を熟知しています。トランプはさまざまな法律違反をしており、現在、34の罪で訴追されています。秋口に2人の討論会がありますが、その時にハリスは検察官よろしくいろいろな切り口からトランプを攻め立てるでしょう。彼はうまく対応できるのか。
いや、訴追内容はほとんどが事実であるので、トランプは対応できないのではないでしょうか。結局、「知らない」「関係ない」などと大声を連発して逃げまくるしかない。完全にハリスの弁論が勝るという候補者討論会の様子が今から予想できます。でもハリスが大統領を目指す「政治家」であるなら、最後でトランプに逃げ場を与えなければなりません。逃げ場のないほど追及されれば、相手には遺恨、憎悪が残るだけ。選挙でハリスが僅差で勝ったとしても、彼は再び「選挙結果は偽造された」などと言ってクレームをつけたり、国会襲撃の音頭をとったりする可能性がありますから。