つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

9月の学校スタート、ぜひ進めて欲しい

 新型コロナウイルス禍によって学校がサスペンドされ、大変だなと思っていたところ、なんと都道府県知事会議の中から「この際、学校の9月一斉入学を考えてもいいのじゃないか」との意見が出、しかも小池都知事はじめ結構多数が支持したので、驚きました。小生は今年3月いっぱいで、年齢の関係から大学教育とは縁が切れ、今では学校の話は他人事ですが、結論から先に言うと、教育機関の9月スタートは大賛成です。安倍首相も前向きだと伺いました。ぜひ、その線で進めてもらいたいと思います。

 単純に考えれば、こういうものは国際標準に合わせる方が好ましいと思います。世界の先進諸国や中国が9月入学のタイムスケジュールであるなら、学生相互の行き来がしやすくなる。留学生も、教師も交流がやりやすくなるでしょう。それから、入学試験の問題。小生は前から、全国一斉の大学入試センター試験をどうして雪が降り交通障害を起こす恐れのある1月中旬に実施するのか疑問でした。

 降雪、吹雪、それによる交通障害を心配する北国の受験生には最初から大きなハンディキャップになり、そういう心配のない南国の学生とは、学力以外ですでに差を付けられることになります。全国一斉、同時期に行うセンター試験は、少なくとも地域的な格差が生じないような時期を選ぶべきです。それには半袖でも臨めるような夏季こそ望ましいのではないかと思います。今は昔と違って、どの学校にもエアコンがあるので、暑さには十分対処できるはずです。

 9月入学であれば8月卒業だから、求人する企業側は困るだろうと言う意見もありました。一般的に企業は会計年度を4月から翌年3月までとしているから、この時期に合わせるべきだと主張する人もいるけど、これも説得力に欠けますね。そういうものだと決めれば、企業側は新制度に対応して十分な受け入れ体制を取りますよ。会計年を考慮して、新入社員は4月に会社に入らなければならないという絶対的な理由はないと思います。

 4月入学、就職に固執する人の多くは情緒論をベースにしています。つまり、桜の咲く季節こそ1年の始まりにふさわしいと言うのですが、そんなものは新しい季節感に慣れれば、すぐに吹き飛ぶ話です。「さあ、これから実りの秋」「勉学の秋だ」と認識できる初秋の方が、あるいはふさわしいのかも知れません。企業と同じように政府の会計年度も4月から翌年3月までだから、これに合わせよという論もありますが、これも十分な根拠に欠けます。最初からそういうずれがあることを承知していれば、それなりの予算が組めるし、支障はないでしょう。

 テレビのワイドショーで、夏の甲子園が困るのではないかと言っていたコメンテーターがいました。3年生選手が卒業寸前まで練習、試合に引っ張られ、進学や就職が考えられなくなると言うのですが、これもおかしな論。夏の甲子園を前提にするからで、いっそのこと春の甲子園大会を下からトーナメントで上がってきたチームで争う本チャンの甲子園にすればいいのです。毎試合、炎天下で行う甲子園は残酷だと多くの人が批判しています。であれば、3月―4月初めの春の気候が良い時こそ真の日本一チームを決めるにふさわしい時期です。

 では、これまでの春の大会はどうするか。小生は個人的に、だれかの恣意的な選抜で出場校を決めるといういかがわしい甲子園大会は止めてほしいと思っていますが、2大会は欲しいという意見もあるなら、これまでの「春の甲子園」の時期を移せばすむ話。それこそ、1、2年生主体のチーム編成でしょうから、進級時期である8月末から9月に実施したら良いのではないでしょうか。甲子園以外のスポーツ大会も、いったん9月入学を決めれば、自ずから全国大会のふさわしい時期は浮かび上がってくるでしょう。

 どこだかの知事が「拙速は止めよ」と言っていました。確かに性急感があることは否めませんが、小池都知事が言うように、逆に、こんな時であるからこそチャンスであり、制度改変はしやすいのではありませんか。もし、こんなことでもなければ、いつまでたっても9月スタートという変革のうねりなど起きるはすがありません。今年こそ、新型コロナウイルスの災い転じて福となす絶好の機会です。

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 上の写真は、カンボジアで見た光景。学生が複数人でバイクに乗って通学している。

金正恩は本当に植物人間になったのか

 世間が新型コロナウイルス騒ぎに没頭している時に、なんと北朝鮮から驚くべき情報がもたらされています。それは、北のかりあげクン金正恩委員長の身体に異変が生じたのではないかという話です。日経新聞はこれまで一行も報じていませんので、一般紙的にはまだ確たるニュースではないということでしょうが、ネット上ではもうかなり拡散しています。今日の党機関紙「労働新聞」は「金委員長が元山の海岸施設建設の地元労働者らに感謝の意を表した」との情報を伝えたが、その光景の写真も映像も出ないまま。今日午前現在、彼の消息不明状態は続いています。

 小生が毎日チェックするネットの華文ニュースによれば、金正恩の専用列車(長さ250メートル)が4月21日から、東部日本海側の町元山のリゾート地にある領袖(金家族)専用駅に停車しているという。したがって、金正恩がこのリゾート地にいることは確かなようですが、何をしているのかは不明。そこで西側では闇情報が飛び交っています。日本の週刊誌は中国人医療関係者から得た情報として、かりあげクンが12日に循環器系(おそらく心臓)の手術を受けたが失敗し、15日から脳死状態(つまり植物人間)になっていると報じました。驚きです。

 手術が失敗したのは、担当した北朝鮮の医師が「玉体」にメスを入れることに恐れ多さを感じて、手が震えたためとしています。ありそうな話です。北朝鮮情報専門の韓国のメディア「デーリーNK」も、脳死までは言及していないものの、「12日に心臓系の手術を受けた」と報じています。米メディアCNNやNBCも、米情報機関関係者の話として、「金正恩が心臓、血管系の手術を受けた。生命は保っているものの、身体障害者になった」、ロイター通信も「中国の医療団が北朝鮮に向かった。金の健康状態について話し合うためだ」と伝えています。

 こういう情報はすぐに裏付けが取れないので、どこも”書き得”という面はあるのですが、でもこれだけ複数のメディアが報じているのであれば、ある程度”異変”は事実なのかも知れません。かりあげクンは身長170センチくらいなのに体重130キロとのこと。民が飢えている時にも、うまい飯をたらふく食べ、毎度映像に出てくるような肥満になっていれば、成人病になるのも無理はない。高尿酸値、糖尿症、高血圧に加えて、肥満による心臓への負担も半端ないでしょう。

 でも、金さんが植物人間などの状態になったことが事実であれば、北は大混乱に陥るでしょうね。個人独裁でその特定個人がいなくなった時の悲劇です。あの冷たい美人系の妹金与正への権力移譲が決まっていると言っても、相当の移譲期間が必要です。そういう権力機構の振り付けをする人、かつての張成沢金永南みたいな老獪なバックが今の北朝鮮にいるのだろうか。北朝鮮の混乱は少なからず日本にも及ぶでしょうから、他人事ながら心配でなりません。

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 上の写真は、カンボジアアンコールワット遺跡内で見かけたカップル。

志村、岡江の死で「笑い」との関係を思う

 コメディアンの志村けんに続いて、昨日、女優・タレントの岡江久美子さんが新型コロナウイルスで亡くなったのは大変なショックでした。志村さんは小生と同世代人ですし、岡江さんはまだ63歳と若い。この変なウイルスがはやらなければ、決してあの世に行く年齢ではないでしょう。2人に共通しているのは、底抜けの明るさです。その明るさから、死など縁遠いものだと本人たちも思っていたし、ファンも思っていたことでしょう。たが、やはり人間、一寸先は闇、何があるか分かりません。

 志村けんのコロナ感染は当初に伝えられていましたが、まさか死ぬなんてと誰もが思っていたでしょうね。ですから、ショックでした。あのひょうきんさ、気安さはだれでもファンにさせます。小生はもちろん会ったことなど一度もありませんが、同世代ということもあって、なんだか昔から知っている個人的な友達を亡くしたような感じ。心の中にすっぽり穴が開いたような強烈な喪失感を味わっています。

 多くの人が語るように、彼のお笑い芸は絶品。特に加藤茶とのコンビでするコントは他の追随を許さないものでしょうね。動物情報番組の「志村動物園」も良かった。保護犬を連れて全国を散歩したり、熊本の動物園にいるチンパンジーと一緒にさまざまな芸にトライしたり。毎週末、その触れ合いの様子をテレビで見ると、心が和みました。彼の動物に対する優しさが伝わってきましたから。この番組は今後も続くらしいけど、やはり志村けんがいない寂しさ、空虚感はどうしょうもない感じがします。

 岡江さんは、志村けんと違って従前にコロナ感染など報じられていませんでしたので、その死のニュースはそれだけ唐突で、衝撃的でした。彼女は美人なのに美人ぶらない、頭の回転が速そうだけど利口ぶらない、ボケもかます、恐らく上品な家庭育ちなんでしょうが、そういう様子も見せない、いつも屈託のない笑いを振りまいている。われわれの世代人からすれば、ワイフにしたいと願う、そういう魅力的な方、素晴らしい女性だったと思います。男性に限らず、同性のファンも多かったでしょうから、一様に強い喪失感を感じたに相違ありません。

 「笑い」と「死」、一見対極の関係にあるように思える概念ですが、必ずしもそうでもないのかも。チャールズ・チャップリンは「笑いにはペーソスが必要」みたいなことを言っていました。ペーソスの究極を「死」と見るなら、確かに「死」を感じるからこそ「笑い」が生きるということなんでしょうか。志村けんのコントを今、彼がこの世にいないことを頭に入れながら見ると、なんだかさらにその「笑い」の”深さ”を思い知らされます。

 それしても、驚くことに志村けん岡江久美子さんの2人が演じたコントがあったんですね。夫婦役となった掛け合いのコントです。スマホアプリのBuzzビデオに掲載されています。面白いんだけど、正直、泣けてきました。

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 上の写真というか格言は、小生の友人が送ってきたもの。81歳になるにはまだだいぶ先。

社会活動なければ、ニュースもつまらない

 世の中、すべての社会活動が止まると、なんと面白くないことか、味気ないことか。味気ないなどと言うと、臭いがないのと一緒で新型コロナウイルスの感染者に間違われる恐れがありますが、それにしても味気ない。マスコミ時代の友人からメールが入って、コンビニで新聞が全然売れてないとのこと。でも、昨今、売れていないのは新聞に限らないでしょうが、それにしても、特にニュースのない新聞なんてだれも買わないものと思われます。

 小生は日本経済新聞を購読していますが、以前は毎朝見るのが待ち遠しくてしょうがなかった。けど、最近はあまり見る気もせず、朝ポストに取りに行くのも億劫です。どの面を見ても、コロナ絡みの話ばかり。社会面は、感染者が増えたとか、どこどこの町はひっそり、店の売り上げが落ちたとか、暗い話ばかり。スポーツ面などはもっと悲惨で、イベントがないから、記事の書きようがない感じです。

 イベントがない時に毎日どう紙面を作っていくのか、昔この業界にいた人間として、今は他人事だとしても気になります。今朝の日経を見ると、驚くことにスポーツ面の半分にBSテレビの番組表が移ってきて、地上波の面と隣合わせになりました。スポーツ面はこれまでインタビュー記事などでごまかしていましたが、さすがにそればかりでは読者に飽きられたのか、それとも編集者に嫌気がさしたのか、記事面を縮小したんですね。

 テレビのスポーツ番組も同様です。小生は、毎週日曜日、TBSの番組「サンデーモーニング」の張本勲さんのコーナーは楽しみにしていました。同番組のその他のところは、批判ばかりで、かっこつける左翼的なポーズの人ばかりのコメントで面白くないので、見ないようにしていますが、張本さんのコーナーだけにはチャンネルを合わせます。以前は8時35分過ぎから始まりましたが、今は9時過ぎのスタートになりました。

 でも、イベントがないので、コメントする材料がないんですね。いつもは小気味いい話し方をする張本さんも、最近は「この未曽有の事態であれば、自粛は仕方ない」というようなコメントばかり。司会者の関口宏との掛け合いもなく、正直つまらないことこの上なし。でも、確かに国難と認識すれば、3000本安打の強者も「仕方ない」としか言いようがないのかも知れません。

 新聞、テレビが面白くないので、ネットの番組を見るようになりました。虎ノ門ニュースというネット番組がありますが、そこで百田尚樹さんが「感染者の数の国別比較は意味がない。それより重要なのは死亡者の数だ」と言っていました。確かに、その通りですね。日本は比較的PCR検査が行き届かないので、潜在的な感染者はそれなりにいると思います。ですが、肝心なのは感染死亡者の数。欧米各国に比べて死亡者数は、日本が圧倒的に少ない。と見ると、日本は案外衛生的で、安全な国なのかも知れません。

 われわれの世代で言えば、子供のころからの手洗い、うがいの励行はもとより、皆BCG注射をしています。コロナウイルスにはBCGが有効なる説が出たので、小生は勇気百倍です。たとえかかっても死に至るような事態にはならないと確信するようになりました。注射跡がじゅくじゅく膿を溜めるような感じになり、昔は「なぜこんな注射を」と思ったけど、今良い結果が出ているとなれば、やってて良かったとしみじみ思います。人間万事塞翁が馬、禍福はあざなえる縄の如しなんですね。コロナウイルスの惨禍も将来、福に転じるといいのですが、、。

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 上の写真は、2つともブタペスト市内で見たモニュメント。

世の中ゼロサム、損あれば儲かる業界もある

 世の中、すべてゼロサムの世界。だれかが損していると、その分、だれかが儲かっているという仕組みです。現在、新型コロナウイルスによって総自粛状態で、ほとんどの人は外に出ません、出たがりません。そうなると、食事も娯楽も、何もかも家の中で済まそうとしますから、勢い、食事などのデリバリーサービス、ネット通販、さらには自宅で娯楽ということでビデオ、ゲームの借り出しも多いようです。外の店には客が来ない代わりに、こうした自宅に届けるサービスは大繁盛なんですね。

 政府によるテレワークへの奨励で自宅で仕事をする人が多くなりました。問題は食事、特に昼食です。会社にいれば、息抜きついでに社員食堂や外の店に行ったり、弁当を買ってくることもできたのに、今は基本外出不可なので家から出るのは難しい。となるとフードデリバリーに頼る人が多くなりましょう。今、この種の出前業者が、従来からある蕎麦屋、すし屋、ピッツァ屋などを含めて破竹の勢いで業績を伸ばしていると伝えられています。

 一方、デリバリー業者に客を取られてはならじとばかりに、一般の店もパック入り弁当などを作り、店頭で売っています。いつもは店先に待ち客が列をなしている、小生の家近くのイタリアレストランも今、昼間スパゲッテイーやピッツァ、サラダをテークアウト向け販売しています。三密禁止で店内が駄目ならば、せめて持ち帰りで家や事務所で食べてもらいたいということなんでしょう。店を閉めていては一銭の稼ぎにもなりません。この苦しい時期の必死の営業努力に、頭が下がります。

 ”自粛時代”の楽しみはどうか。外に出ることができなければ、当然、家の中での娯楽となる。それにはインターネットが最良のツールでしょう。ネット検索で、日ごろ感じていた疑問点を調べるのも良し。独りでも友人とでも囲碁、将棋ができますし、ゲームも楽しめます。映画も無料のサイトが数多くあるほか、ペイパービューで好きなものも見ることができます。

 でも、無料映画は所詮好みを満たしていない。で、小生は近くの「TSUTAYA」に行って好きな時代劇を借りるようになりました。「ヒマつぶしは自宅のDVD劇場で」と、同じように考えている人が結構いるようで、貸しビデオ屋さんも混んでいます。店内にいる時は三密の”危険な”状態なので、最小限の時間で済ますようにしています。

 外で酒が飲めない状態が続くのは大変な苦痛です。独りで飲む酒もたまにはいいんですが、ほとんどの場合、みんなでワイワイやりながら飲みたい。でも、客観状況が許さないとなれば、どうしたらいいのか。誰が思いついたのかは知りませんが、オンライン飲み会というのがあります。つまり、LINE、スカイプ、zoomなどテレビ電話のSNSを使って、画面上で仲間の顔を見、話しながら自宅で酒を飲むというスタイルです。

 小生も先日、飲み仲間とやってみました。それなりの雰囲気は楽しめましたが、やはり、酒場で同じ酒を飲み、同じつまみを食べ、向かい合って飲む酒に比べるべくもない。傍に人がいない、人の息が感じられないのはいまいち虚しいものでした。ゴールデンウイーク明けまであと3週間近くの自粛か、コロナウイルスが恨めしい。

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 上の写真は、ブタペストのゲッレールトの丘から見たドナウ川。そばに美女がいると、風景がさらに美しくなる。 

安倍氏、小池女史、どちらが総理か間違えそう

www.kazankai.org

 タレントの星野源がやっているSNSの応援サイトに安倍首相が投じた動画が問題になっています。星野の歌に合わせて横に安倍首相が自宅でくつろぐ様子が映されているのですが、「新型コロナウイルス対策が瀬戸際にあるときに、こんな余裕でいいのか」と世間の批判が相次いでいるそうな。首相は「皆さんも私と同じように自宅にいてください」とのメッセージを込めたかったのでしょうが、世間はそうは見なかった。「景気衰退で疲弊している時に家で優雅にくつろげるか」「首相は逆に、この大切な時こそ一生懸命ぶりを示してほしかった」ということなんでしょう。

 この動画を待つまでもなく、コロナウイルスに対する安倍首相の初動対応、さらには緊急事態宣言でも”徹底性”がないことから、政府の対応は全般的に不十分と思っている人が多いようです。その国民の意思は最新の世論調査にも表れました。安倍支持率は、どの調査を見ても「不支持」が「支持」を上回っています。これは、世間が安倍首相のリーダーシップを評価していないということであり、ゆゆしき事態かと思われます。

 それに比べて、小池百合子都知事のリーダーシップぶりが際立っています。まあ、今夏の知事選で再選を意識した面もあるのでしょうが、毎日テレビCMに出て自粛を訴えています。客が集まる事業体への自粛要請も国よりも早く、逆に国をリードした形になっています。新型ウイルスに対する小池氏の危機感は確実に首相や政府全体の認識より高ったということでしょう。

 ちなみに、ニュージーランドのアーダーン首相やフィンランドのサンナ・マリン首相も30歳台という若年女性ながら、今回、早々と都市封鎖したり、国境を閉じたり、マスクを大量保管したりと適切な措置を取っています。このほか、忘れてはならないのがお隣台湾の蔡英文総統の機敏な差配。1980年代初めのフォークランド戦争に果敢に立ち向かったサッチャー首相の例もあるように、危機管理はやはり女性の方が向いているのかも知れません。

 今回の問題で、安倍首相と小池都知事が記者会見に出てくると、失礼ながら、どちらが総理なのだろうかと錯覚してしまいます。それだけ、小池氏の落ち着いた発言ぶり、てきぱきとした対応が安倍氏の余計な言葉が多く、感情の籠らない発言を圧倒していました。小池氏はかつて自民党にいた時に総裁選に立候補したことがありましたが、あれは意外なことでもなかった。当時からそれなりに評価していた党員がいたんですね。今回の件を見ると、女性で初めての総理大臣は彼女で良いのじゃないかとも感じてしまいます。

 さて、こんな時期、LineやWechat、Facebookで数多くのメールが入ってきます。それらのメールから、小生とほぼ同年齢の多くが自粛を余儀なくされ、時間を持て余しているんだという雰囲気が感じられます。そんな中にビジネスメールも。「中国製の医療用N95マスク、防護服は要らないか」とか「NHKでも放映していたけど、病院で簡単に針を指に刺し、そこで新型ウイルスの抗体の有無を調べるキットがあるが、売り先はないか」という、中国貿易をやっている友人からのものもありました。

 中国は自国でウイルスをほぼ制圧したことで、すでにマスクや検査キットなどは余り気味のようで、海外に売りに出しています。災い転じて福となすということで、この際一儲けしようという魂胆でしょうか。ただ、欧州から入ってくるニュースを見ると、中国製の医療用品はいまいち、信用されていない感じ。フランス、イタリア、オランダからフィンランドまで、N95マスクは欧州の基準に達していないとのことで、突き返されています。

 中国は”マスク外交”を通じて中東や欧州との「一帯一路」の関係を再構築したいと考えているのでしょう。そうであれば、これこそ千載一遇のチャンスなのでしょうが、現実はそう簡単でない。中国の製品は本来、自動車、精密機器を含めてすでに一定の国際水準に達しており、医療機器も同様だと思います。でも欧州から「不完成品」との烙印を押されてしまうのはどういう理由か。あるいは不心得の貿易関係者がいて、不良品、偽物を流しているのかも知れません。その辺が中国通の小生には残念でなりません。

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 上の写真は、ウイーンで見掛けた市内観光用の馬車。

迫力がない「緊急事態宣言」は説得力ない

 政府は4月7日、新型コロナウイルスの流行阻止に関して「緊急事態宣言」を発令しました。これは本来、平穏な時期を突き動かす大変な号令であるはずです。でも正直、記者会見に出てきた安倍首相からは、緊急事態が発生したとか、非常時になったんだとかの緊迫感は感じられませんでした。この人のもって生まれた家庭環境のせいか、はたまた個人的な性格なのか、舌足らずの言い回しのせいか。あるいは、彼個人がもともとそれほどの危機感を感じておらず、その思いがにじみ出てしまったためか。

 小泉首相はかつて、自身の懸案であった郵政改革法案が参院で否決されたあと、記者会見し、”理不尽”にも当事者でない衆院の解散に打って出ると宣言しました。あの時の目力、迫力はすごかった。正直なところ、多くの人は、郵政改革が本当に必要なのかどうかは分からなかったけど、小泉さんがあれだけシャカリキになって主張するのなら、正しいんだろうと思いました。それに比べると、安倍首相の今回の会見は、人をして納得させるという面では、かなり見劣りする感じがします。

 第一感として、緊急事態と言う以上、政府はわれわれに、コロナを撲滅するためにどれだけの犠牲を払うべきか、その要求内容がズラズラと出てくるものだとばかり思っていました。ところがどうだ、これこれはやってはいけないという強制禁止事項は何もない。あくまで自粛を続けよという従来の繰り返しに過ぎません。しかも、対人接触を避けるためにさまざまな公共施設、商店、集会施設にクローズを要請するのは模様を見て2週間後に発表と言うのですから、開いた口がふさがりません。

 緊急事態宣言と言うのなら、首相のリーダーシップである程度の強制的な措置を発表しても良かったのではないか。まあ、確かに営業停止、店舗閉鎖などを強要すれば、個々の業界からの反発がある、損失に伴う補償問題も生じる。野党の一部が言うように、人権にかかわる面もありましょう。という意味で、なかなかそうした措置まで取りにくいのは確か。でも、断固感染を抑えるという本筋に強い意志を示すなら、それもありかと思います。首相の確固たるリーダーシップを示してほしかった。

 これが本当の戦争だったら、どうか。尖閣諸島に中国側の漁民が上陸してきた時、「まだ漁民だから、正規軍でないから大丈夫」とか「連中はこん棒だけで、銃は持っていないから」などと躊躇し、緊急事態を宣言しなかったら、手遅れになってしまいます。政府は果敢に対応すべきで、模様見ではいけないと思います。この点では、日本に密入国した北朝鮮工作船を海保に追いかけるよう命じ、銃撃を加え、沈めるという措置を取った小泉首相は偉かったと思います。

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 上の写真は、小生の自宅近くの公園の桜。2週間前ほどに満開になった時のもの。春はやはり桜の景色が欲しい。