つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

素晴らしかった高津監督の勝利後インタビュー

 最初に触れておきたいのは、日本シリーズです。いや第6戦、実にいいゲームを見せてもらいました。山本由伸が好投したので、最後はオリックスが勝つと見ていましたが、ヤクルトの高梨とか言うピッチャーもナイスピッチングをして、互角の戦いに持ち込みました。高津監督にしてみたら嬉しい誤算だったでしょうね。恐らく彼の胸の内を読むと、この試合は山本が出て来るので落としても仕方ない、だから奥川や高橋を残して、第7戦に勝負をかけようと思っていたと想像できます。

 それにしてもオリックスのバッターは打てない。これじゃ投手が可哀そうだ。もうちょい杉本辺りが頑張らないと。その点、ヤクルトは決める時には決めた。川端はもともとペナントレースでも代打でヒット確率が高かったが、日本シリーズでも肝心のところでもしっかりと役割を果たしてくれました。さすがにかつて首位打者になった男です。MVPになった中村悠平や塩見泰隆、それにベテランの青木も加えて皆職人肌のいい味を出していました。各選手が役割を認識して打線がつながっていました。

 夜遅くまでテレビ観戦していて感心したのは、高津監督の勝利後インタビュー。普通、勝利後インタビューだと自らのチームの強さと自軍の選手をねぎらう発言だけに終始するものですが、高津は「ブッファローズは非常に強かった。簡単に点を取らせてくれなかった。抑えるのも難しかった。非常にいいチームだと思いました」としっかりと相手チームに敬意を表し,褒めたたえていました。自らの勝利に酔うことなく、こうした言葉が出てくるのは実に立派な態度だと思います。

 それから、高津は「スワローズファンのみなさん」に続けて「日本のプロ野球ファンのみなさん」と語りかけ、「1年間本当に応援ありがとうございました。何とか日本一になることができました。まだ、終わったばかりですけど、熱い戦いをこれからもプロ野球として見せて行けるよう我々もしっかり努力していきます」と、ヤクルトだけでなく、プロ野球人として今年を締めくくるようにプロ野球全ファンに感謝の言葉をささげたのも素晴らしかった。これらは高津の人間性が出ており、ヤクルトはこの指導者の下で勝つべくして勝ったのかなと思いました。

 プロ野球はそれくらいにして、大相撲九州場所が終わったので、それにも一言。モンゴル人が去ってまたモンゴル、と言った感じで、正直なところ、小生は照ノ富士の全勝優勝をあまり喜べません。他の力士との力の差が歴然としており、今後1,2年は照ノ富士時代が続くのではないか。前にも触れましたが、志摩の海とか平戸海とか大奄美とかいうしこ名が付いているように、大相撲はやはり郷土の応援を受けた郷土の代表の争いであることが好ましい。ウランバードルやゴビアルタイ出身であれば、残念ながら”地元”の盛り上がりは日本に伝わってこないので、長い目で見れば、衰退を呼びます。

 それに、場所中、藤井康生アナウンサーと舞の海が指摘していたのは、力士の大型化はまずいという点。これは以前、北の富士さんも嘆いていました。大型化すると、はたき込み、肩透かし、突き落としなどの前に落ちる技が多くなり、相撲の面白さを半減させてしまいます。やはり、差し手争いをしたあと四つに組み、寄り切りか投げを打つ、あるいは、はず推しで力比べをするかといった相撲本来の形で勝負をつけてほしい。と願うのは小生ばかりではないでしょう。

 そこで、藤井アナがいみじくも提案していたのは、大相撲力士にも体重制限が必要だということ。小生も以前このブログで、体重制限の必要性を書きましたので同感です。ぜひそうあってほしいと思います。せめて、170キロ以下くらいにしてもらいたい。できれば、身長も190センチ以下にしてほしい。柔道に体重別を設けているように、格闘技は体重、身長が大きい方が有利であることは否めないのですから。大型、重量級の照ノ富士のように差し手にこだわらず、両差しにされてもかんぬきに決めたり、肩口から両上手を取り、釣り寄りするなどの荒っぽい取り口は見ていて感心しません。

 それから、確か行司の玉治郎かが遠藤の取組で「手つき不十分」として何度か立ち合い後に動きを止めました。遠藤は間違いなく片手はついており、問題なかった。双方が立ち合いに納得しているのに、行司が途中で止めるのは異常な越権行為。見ている人間も白けてしまいます。明らかに両手が付いていないなどの中腰立ち合い以外は見逃してもいいではないかと思います。

 上の写真は、野毛山動物園の入り口。

夜明けのスキャット - YouTube

これも学生時代に流行った曲。メロディ、歌詞とも衝撃を受けました。

今年の日本シリーズは近年にない面白さ

 現在、プロ野球の日本シリーズが開催されているが、今回のヤクルト対オリックスは接戦続きで、近年にない面白味を見せています。ここ4年間は、ソフトバンクが連勝。特に巨人と対戦した19,20年は情けないことに巨人が一度も勝てず、ソフトバンクに敗退しました。まさに大人と子供の戦いだったのです。今年は昨年最下位同士の戦いであるからかどうかは知りませんが、試合の中身自体がシーソー展開で目が離せない。小生は別段ヤクルト、オリックスのファンでもないのですが、試合のある日はついつい見てしまいます。

 第一戦の山本由伸、奥川恭伸の投げ合いは圧巻でした。山本はオリンピックで好投したし、今年沢村賞も受賞しており、現在日本一のピッチャーだと思います。ですから、新人同様の奥川が相手なら簡単に勝つだろうと見ていましたが、案に相違して奥川がすごくいいピッチングをするのです。驚きました。結局、奥川は7回1失点で山本と互角の投げ合いをし、勝星が見えてきたところ、抑えの外人ピッチャーの不出来で逆転されてしまいました。ヤクルトにしたら大変残念な結果。小生はああ、ヤクルトはついてないな、これでこのシリーズはオリックスが勝つのだろうと思いました。

 第2戦は、オリックスの宮城大弥投手が登場。20歳という若さながらペナントで活躍してきたので、こちらが有利かと思いましたが、これまた案に相違してヤクルトの若手ピッチャー高橋奎二もすごかった。なんと完封してしまったのです。その後もヤクルト投手の活躍は続く。ベテラン投手であまり期待が持てなかった3戦の小川泰弘、4戦の石川雅規が”予想に反して”好投し、なんと3連勝してしまったのです。41歳の石川なんてペナントのゲームではいつも3、4回ごろに打ち込まれ、こちらは可愛そうだなと見ていたので、この日のナイスピッチングにはびっくりしました。

 第5戦はテレビ観戦できなかったのですが、あとでテレビのニュースで見ると、山田哲人が同点となるスリーランホームランを放ったのはすごかった。実は、小生はどちらかというと関東人なのでヤクルト贔屓。これでヤクルトペースになると思いましたが、またまたマクガフとかいう抑えの外人投手が打たれ、ぶち壊してしまいました。

 まあ、オリックスにしたらこれで負ければ終わりなので必死だったのです。逆に、その分、マクガフの顔にはいまいち必死さが見られなかったのが残念なところ。ライト前ヒットの球処理を誤り、一塁走者をホームインさせたヤクルトの外人選手もいました。昔、巨人のクロマティーという弱肩のセンターが緩慢プレーで同じことをやられましたが、こんなボーンヘッドは、高校野球で鍛えられている日本選手ではあり得ないことです。

 で、明日の第6戦はどうなるか。第1戦に出た山本由伸が満を持して登場してくるから、奥川が再び出てきても、今度は対等な投げ合いにはならないでしょう。恐らくオリックスの勝利となり、結局、第7戦までいくのではないでしょうか。7戦は総力戦だから、まったく読めません。先発は高橋、宮城の投げ合いになるのでしょうが、前回と同様の結果になるとは限りません。互いに選手本人やスコアラーによる球筋、球種の読みがあるでしょうし、投手のその日も出来もありますから。

 ところで、今年の日本シリーズ、どのゲームも接戦で大変面白いのですが、一つ残念なことは、決勝点を上げるクライマックスシーンでやたら目立つのは、ヤクルトのオスナ、サンタナオリックスのモヤ、ジョーンズなどと外人選手ばかり。日本人では、第1戦で決勝弾を打った吉田正尚しか印象に残らない。外人は所詮助っ人ですから、本当は日本人選手がもっと重要な場面で活躍してほしいと思います。

 上の写真は、横浜スタジアムの1塁側スタンドの外観。横の緑は横浜公園で、噴水池の水と流れがきれい。

候補者の違いがよく分からない立民党首選

 現在進行中の立憲民主党の代表選、政権党でないし、しかも今次総選挙で議員数を減らした党ですから、世間の関心がそれほどあるようには思われません。個人的にも支持する政党ではないので、どうでもいいと思っているのですが、まあ野党第一党ですから、一応感想を書いておきます。贔屓目に見ようと思っても、立候補者4人の中で他を圧するほどに魅力的な御仁は見受けられません。で、もしお前に選挙権があったら、だれに投票するかと問われれば、本来は棄権したいところですが、強いて言えば逢坂誠二を選ぶと思います。

 先日、テレビで4人の討論会をやっていたので、耳を傾けました。彼らの話す内容は観念的なことがほとんどで、具体的に政策に触れようとしませんでしたので、4人の違いが見えない。しかも最大の関心事である立共共闘の是非については、だれも本音を言わず、まあ、消極的な賛成みたいな表現に終始しました。これも一人区で共産党の票を獲得するためには致し方のない選択なのかも知れません。特に、来年夏には参院選がありますから、党首になる人間としては共産党を完全に敵に回すような発言はできないのかとも思います。

 読売情報によると、国会議員を対象にした事前調査では、泉健太が第一位、次いで小川淳也、逢坂、西村智奈美の順だそうです。泉は希望の党、国民民主党から移った議員で比較的中道系だと思われます。もう一人、総理大臣を目指すと豪語する香川県選出の小川も希望の党経由であり、中道系。比例区自民党の現職大臣を破って当選したので勢いがあるし、若手で期待感を感じさせます。それに対し、旧社会党系である逢坂も西村も左派。という色分けで見ると、立民党は立共共闘をしながらも、泉、小川の支持が多いということは、まだ中道志向なんでしょうね。

 ここで水を注すようですが、敢えて難点を言わせていただければ、泉は顔が暗い。まだ40歳台であるなら、もっと溌剌とした雰囲気を出してもいいが、何か若さを感じさせないし、発言内容も説得力がない。小川も左派を意識して極力中道寄りの発言を控えており、内容も具体性に欠ける。その辺がいまいちアピールしないところかと思います。2人に比べ、北海道の町長を経験した逢坂は風情がなかなか魅力的で、落ち着きがあり、発言にも聞き耳が立てられる。最近、彼は大胆にも「立共共闘をリセットする」と言ったらしいけど、これはかなり踏み込んだ発言で、個性を出しました。

 残念ながら、西村は外見、発言内容とも魅力を感じない。国会議員仲間が4人の中で最下位に評価するのが分かる気がします。本来、紅一点であれば、それだけで注目度が増し、他の候補者を圧してもいいと思いますが、そのオーラはない。フランスの右派国民連合のマリーヌ・ルペン、ドイツ緑の党のアンナレーナ・ベアボックら諸外国、特に西欧では党首クラスに女性が多く存在します。で、小生も、自民党総裁選で高市早苗に期待したように、女性がリーダーになるのは大いに賛成です。ですから、せめて野党第一党の党首は女性でもと思いますが、彼女ではちょっと荷が重すぎますか。

 末端の有権者である立民党の地方議員、党員は、やはりかつての社会党のように労組出身者、左派系が多い。となると、国会議員票以外では、恐らく泉、小川に投じる票は少ないでしょうね。恐らく一番年上の逢坂推しになると思われます。ですから、トータルではかなり逢坂が有利なんでしょうが、立共共闘リセット発言があったので難しい情勢になりました。最終的には接戦となって泉健太に落ち着くのかも知れません。

 もし、泉氏が代表になったのなら、これまでのあーでもない、こーでもないという曖昧発言を止め、自己主張をしっかりして、枝野前代表とは明確に違う中道寄りのスタンスを打ち出してほしいと思います。

 上の写真は、いつもの飲み友達との会合。横浜ベイクォーターのレストランか、横浜駅近くのアソビルの居酒屋が定席。

彭帥は政治の風に踊らされた道化役者?

 最近の中国関連のニュースで驚いてしまったのは、張高麗という前期政治局常務委員会にいた指導者が国際的に著名なテニスプレーヤーの彭帥女史と性的な関係を持っていたということ。あんな真面目くさった顔をして常務委の末席でしゃっちょこばっていた男がしっかり、女性スポーツ選手を口説いていたとは、世の中は分からないものです。それはともかく、彭帥女史は今、行方不明になっており、国際女子テニス協会WTA)ばかりでなく、ジョコビッチら多くのプロ選手、関係者が心配しています。どこに行ってしまったのか。

 張高麗は元のトップ江沢民と親しく、山東省の書記に引き上げられていました。この時期、江が家族ともども同省の名山である泰山に登りに来るというので、全山を封鎖、一般客の入山を禁止して江シフトを敷くほどのごますりを見せていました。これはさすがに一般客の顰蹙を買いましたが、ごますりが優先です。この時、江は自分の足で登山したわけでなく、昔のお大尽のように4人が担ぐ輿で登山しました。中国語ではこれを「抬轎子(タイジァオズ)」と言いますが、巷間良く知られる「拍馬屁(パイマーピ)」と同様、ごますりと言う意味でも使われます。このごますり男はその後特別4市の一つ天津市の書記に出世し、さらに中央に出て筆頭の副首相となり、トップセブンの指導部入りを果たしました。

 張が彭帥女史と関係を持ったのは天津市書記時代だったようです。芸能人であろうと、スポーツ選手であろうと、国家の権力者に接近するのはある意味自然なこと。中国では、かつて文革のグループに取り入り、閣僚までなった荘則棟(男性)という卓球の選手がいましたし、江沢民時代の中央指導部に接近した郎平というバレーボール選手もいました。ロシアでも、新体操の女子選手アリーナ・カバエワプーチン大統領といい仲になり、出産して、現在同居しているという説もあるほどです。

 彭帥はSNSに投稿した記事の中では一方的に被害を受けたように書いていますが、果たしてどうか。権力に擦り寄ろうとした面がなかったわけではないのでは。結局、自身が張高麗と付き合っても良い目に遭わなかったし、さらには張には冷たくされたので、報復として関係を暴露したというのが真相だと思われます。でも、張高麗もこう言っては何ですが、最高権力層の一員であれば、女性などいくらでも寄ってくると思うけど、寄りにもよって筋骨隆々でそれほど見目麗しくもない体育会系の女性を気に入るというのは驚きです。自身が貧弱な体であるから、劣等感の裏返しか。

 張高麗、彭帥問題について中国外交部スポークスマンは「外交問題で問題でないので、答えられない」と歯牙にもかけない対応です。確かに外交問題ではなく、国内の男女問題なのですが、事は元最高指導部のスキャンダルであり、当の彭帥女史が行方不明になっているのであれば、これは”事件”です。しかも、彭は国際的なテニスプレーヤーであり、国際テニス協会ばかりなく、クリス・エバート夫人、ジョコビッチ大坂なおみらの著名選手までが心配しているとなれば、記者は関心を持たざるを得ない。中国当局も答える義務はあると思うのですが、、。

 小生も元記者の野次馬根性で、この張彭スキャンダルの裏側を探ってみたくなりました。張高麗は習主席1期目(2012-2017年)の最高指導部にいましたが、背景を探ると泰山でごまをすったように江沢民派です。となると、現在、江沢民派の一掃を図っている習近平にとってはこのスキャンダルはフォローの風になります。現在の指導部内にも韓正筆頭副首相ら江派の幹部はいます。そういう人たちを来年の党大会で葬るには願ってもないニュースであったでしょう。という視点で見ると、何やら彭帥自身もこの政治の流れ(権力闘争)の中で踊らされた道化役者のように見えてきます。

 上の写真は、上野駅中央口コンコースに飾られたクリスマスツリー。

日暮高則のチャイナ・スクランブル

「平和憲法」あれば侵略されないのか

 先日、大学のクラス会が開かれました。コロナ禍によってしばらく開けず、久しぶりの会合だったので、昔の仲間と会えて嬉しかったです。話題は多岐に渡りましたが、やはり自民党総裁選、総選挙があったので話題の中心は政治。自民、保守支持派と立民、いわゆる革新支持派と別れて論争になりました。その中で、小生が気になったのは、仲間の一人が「戦後70数年間、日本が戦争しないで済んだのは平和憲法があったから」と主張したこと。個人の意見だから、いろいろあっていいと思いますが、対外関係の中で憲法にそんな力があると思うのは大きな間違いでしょう。

 現在の国際情勢から見て端的に言います。中国は2017年にヒマラヤ山脈東部の国ブータンのドクラム地区に侵攻し、その地を占拠して撤退していません。ブータンは世界一幸福度の高い国、平和な国と言われ、自国で軍隊を持ちませんから、他国に脅威を与える存在ではありません。国家の安全保障はインドに頼っています。ただ、インドは中国と国境付近で軍事的な対立を続けていますので、ブータンまで手が回りません。

 そこを付け込まれたのかどうかは分かりませんが、中国軍はじわじわとブータン領内に侵入し、ドクラムの領有を既成事実化し、今年10月、ブータン側と国境線画定の協定を結んでいます。ブータン側にすれば、結ばされたということでしょう。なぜなら、この国は歴史的に中国を恐れ、国交を開いておらず、国家間の付き合いを避けてきたのですから。ブータンがいかに平和を愛する国だと世界に宣言しようが、周辺国はそんなことに頓着しない、隙あれば惜しみなく奪うというのが国家関係、特に隣国同士の関係なのです。

 日本も今、第9条で戦争放棄をうたった憲法を持ち、戦前とは決別して外国を侵すようなことは絶対ない平和国家として生きています。これは周辺国どころか世界中に知られている事実です。だからと言って周辺国はそれを考慮してくれるようには思えません。尖閣諸島は今、日本が実効支配していますが、中国が「古来、自国の領土」だと言って海警船を繰り出して隙あれば奪わんばかりの勢いです。ブータン尖閣の例を見れば、国家関係は冷厳に力と力の関係であり、相手が平和を愛するかどうかなどは考慮されない、お構いなしなのです。

 小生は、平和憲法が他国の侵攻意思の抑止につながるとは到底思えませんが、それでも、「そうだ」と主張する人たちがいるのが変だとは思いません。その主張がある一面で当たっているところがあるからです。歴史上米軍が世界で関わった戦争、例えばベトナム戦争アフガニスタンイラクの戦争に日本政府は日米安保条約があるにもかかわらず自衛隊を送っていません。米側から派兵要請があっても「あなた方(米国)が押し付けた現行憲法上の制約があるので」という理由でうまく断ってきました。

 過去の時代はそれで通ったのでしょう。では、今後はどうか。よくよく考えれば、経済関係がますますグローバル化している中で、一律に他国の争いだからと切り捨てられるのか。もっと子細に言えば、日本は石油のほぼ100%を中東に頼るのに、かの国々で何が起ころうと無関心でいいのか、シーレーン途上にある東南アジアの動静は関係ないと言えるのか。中国が台湾を進攻した場合、外国のことだからと傍観できるのか。という観点で見れば、今後は憲法を理由に、軍事的な関与を断ることはできにくいと思います。

 1990年のイラクによるクウェート侵略に対し、米国などは多国籍軍を構成してイラクと対抗したのに、クウェートから大量の石油を買っていた日本は支援金(それも多額)を出しただけ。だから、占領を回復したあとのクウェートは軍隊を出してくれた各国に感謝しても、日本には感謝の意思を示しませんでした。今後二度と同じことがあれば、各国は日本を貿易相手国として認めてくれなくなるどころか、利益ばかりで義務を果たさない無責任で勝手な国との烙印を押してくるでしょう。

 平和というのは念仏をとなえるだけでは成就し得ない、イラクによクウェート侵略に対し世界各国が力を合わせて現状回復したように、ある時は平和を守るための軍事的な行動も必要です。第二次世界大戦の時、欧米連合軍がナチスドイツと戦わなかったら、ユダヤ人はずっと強制収容所の中で虐殺され続けていたでしょう。仮に今、クウェートユダヤ人がそういう状況にあった場合、我が国と関係ないから、我が国は「平和憲法だから」と言って無視し続けられるのでしょうか。今、世界の秩序維持のために日本も貢献せざるを得ないと思います。

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 上の写真は、みなとみらい地区にあるけいゆう病院9階から見た横浜ベイの風景。今週初めに3日ほど検査入院ました。

https://www.youtube.com/watch?v=UmEEZJryFP0

 クリスマスが近づくと、なぜか聞きたくなる、歌いたくなる曲。

一人っ子を戦争に行かせる選択肢はない

 中国は今、第19期6中全会を開催して、新たな「歴史決議」を採択、習近平の執政を確立させ、来年の第20回党大会後も権力を握る腹積もりらしいです。独裁体制の国家では、選挙がないので最高権力者の胸一つでどうにでもなる。本来は国家主席は10年までと決まっていたものを2018年の全人代でこの任期制を取っ払ってしまって、いつまでもでできるようにしました。習近平にしろ、プーチンにしろ、ベトナムのグエン・フーチョンにしろ、イランのハメネイにしろ、ついでに志位和夫にしろ、困った連中です。長くやることで権力は必ず腐敗することを理解していないようです。

 で、習近平は今、自分の権威を高めることに汲々としています。経済的には一帯一路で中国主体の経済圏を作り上げ、軍事的には南シナ海支配下に置こうとしているばかりでなく、インドやブータンの領土を奪い、日本の尖閣諸島にもちょっかいをかけてきています。軍事的な攻勢は、自国の大国意識を満足させるという意味では、戦前の日本の大陸進出のように国民には歓迎されるのですが、半面怖い面もある。これは終わりがない野望ですから、世界制覇まで続けられることになる。そうなれば、やがて米国と最終戦争をしなくてはならなくなります。

 とりあえず、今、台湾の制空圏内を中国の戦闘機が侵犯して力の誇示を図っています。でも、こんなことをすれば、世界的には逆効果。米国は今、台湾防衛についての曖昧戦略を放棄して、最新武器を供与したり、軍人を台湾に送って指導したりと露骨に台湾への軍事支援をしています。欧州はこれまで中国の軍事力伸長には目をつぶって、経済的な観点から関係を保持してきましたが、ここへ来て人権問題提起に中国側が露骨に報復したことから一転。チェコリトアニアばかりでなく、英独仏の大国でも台湾寄りになる傾向が強まってきました。

 アフリカ諸国やパキスタンなどの友好国でも、中国人が襲われる事件が相次いでいます。中南米諸国でも中国に懐疑的になりました。これまでふんだんにある金で外国を支援したため、歓迎されていたのですが、最近、それらの国々も中国のやり方に不快感を持つようになりました。一帯一路で各国に中国人や企業を送り込むのはいいのですが、地元の人間の雇用や企業の発展を考えず、中国の利益ばかり図る構図が被支援国でも分かってきたためです。それに、最近の中国経済の落ち込みで、海外支援の金もしぼんできたため、各国が「金の切れ目が縁の切れ目」と思うようになってきたことも背景にあります。

 それはそうと、台湾に対し中国は戦端を開くことがあるのでしょうか。これは、日本にとっても最も重要な課題であり、多方面でその有無、成否について論じられています。今の情勢は一見、中国の台湾進攻がありそうな雰囲気がありますが、小生は否定的です。というのは、毛沢東はかつて「核戦争で中国人の半分死んでも、まだ3億人が残る」と豪語していたのですが、それは重要インフラ等が何もない毛沢東時代だから言えたこと。今はそんな時代じゃない。中国には今、繁栄する都市と豊かな人民の生活があり、それを犠牲にすることは無理です。人民は同意しないでしょう。

 中国の労働世代は1970年代から2000年代にかけて生まれた世代。この中で特に、軍隊の中でも働き盛りは1980年以降生まれの一人っ子時代の人たちです。今豊かになった中国人家庭が一人っ子を戦争に出して死なせる選択肢はないでしょう。為政者が国民を戦争に駆り立てるには、祖国の防衛という要素を除けば、確固たる信念・思想、指導者への忠誠、国民個々の利益が必要ですが、一般国民にとって台湾を攻める理由は何一つ見出せません。

 社会主義共産主義を広めたいというかつての信念はないし、習近平に身をささげるという意識などはさらさらないでしょう。さらに、台湾を攻め獲って民主主義地区を独裁国の一部にしたところで、国民一人ひとりに何の利益ももたらさないどころか、却って”希望の地”を失ってマイナスなだけ。いくら何でも、今、習近平独裁政権下で祖国を統一させたいと強烈に望む人はいない。であれば、中国の若者が積極的に台湾進攻の戦いに参加するとは思えません。

 今、アジアの中国包囲網に与するのは米国だけではない。オーストラリア、インド、日本、さらには欧州の英国、フランス、ドイツが軍艦をアジア海域に送ってきています。これは単にインド洋、南シナ海を守るということだけでなく、台湾防衛も意味していることでしょう。となると、中国が台湾に戦端を開いたら、日米豪印だけでなく、欧州もこの争いに参加することになります。そんなことをする勇気が中国にあるとは思えません。

 上の写真は、滋賀県の旅行中に見た花。下の方は小生の近所で見た花。

結果平等でなく、機会均等を重要視すべき

 岸田文雄首相は、総選挙前から「新自由主義からの脱却」などと声高に叫んでいました。それに対し、先日テレビ出演した維新の会の松井一郎代表は「そもそも今が新自由主義なのですか」みたいなことを言っていました。小生もそう思います。岸田が言っている内容はちょっと理解ができません。安倍内閣時代、新型コロナウイルスがはやると、全国民に10万円を配って、さらに一人当たりマスク2枚まで配りました。十分すぎるほど庶民に手厚い保護をしてきたのではありませんか。

 その上、赤字国債を大乱発してさらに国民全体に厚い手当をしてどうするんだろう。岸田総理も今回の総選挙後、さらに子供を対象に大判振る舞いする予算を組むみたいです。子供に限るのならまだいいでしょう。野党に至っては、どの政党も税金で全国民に金を配れといった主張をしています。それって、全く意味不明。全員に配るなら、最初から税金を取らなければいいのですから。そういう理屈になりませんか。こうしたことをやり過ぎると、国民は「何か困ったら、政府が必ず金をくれるから大丈夫」といつも思ってしまうでしょう。これでは、労働意欲も向上心もなくします。

 大河ドラマ「晴天を衝け」の主人公、渋沢栄一は、「結果平等」でなく「機会均等」を重要視すべきだと主張しています。この意味するところは、何もしなくても、寝て暮らしていても、政府から金が来るのでまずまずの生活ができる、じゃ寝て暮らそうと考える人の生活まで保障しようということではないのです。渋沢は、人間には平等にチャンスを与えるべきだが、しかしその後に個人の能力や学習、仕事への姿勢、努力で差が付くのはしょうがない、その結果については、個々人は甘受すべきであるということを言っているのだと思います。

 歴史上試みられた社会主義がなぜ駄目だったか。中国の人民公社ソ連のコルフォーズ、ソフォーズがなぜうまくいかなかったか。それは、悪平等だったからです。他人を凌駕したい、他人より良い暮らしをしたいという人間の根源の性癖をまったく理解しない方式だったからです。さらには、特定個人の突出、能力の発露を認めなかった社会であったのです。現在、中国で話題になっているコングロマリット「恒大集団」の許家印オーナーは、河南省の貧しい農家の出身ですが、改革・開放の中で企業を起こし、不動産業で大成功を収めました。

 その許家印が自伝の中で明かしているですが、人民公社か生産隊か何かの中で、生産性を高めようとある種の提案をしたら、「そんな資本主義的なことをするな」「お前は政治的な姿勢が間違っている」などと攻め立てられたというのです。悪平等社会主義共産主義は個人の向上心を奪うだけでなく、組織全体の発展をも阻害してしまうのです。恒大集団は今、不動産への過剰投資で厳しい状況に置かれていますが、彼の向上心を考えると残念でなりません。

 愚かな日本の野党政治家は「格差をなくせ」などと声高に叫んでいますが、格差があるから、人間はそれを乗り越えよう、追いつこうとして社会は進歩するのです。なんやかや言っても、最後に国がすべて格差を解消してくれると感じたら、だれが一生懸命に働きますか。その点、維新の松井代表は格差はなくならない、それを前提にしての政策を考えるべきだというようなことを話していました。その通りだと思います。

 ただ、シビルミニマムの保障は大事です。実際に働きたくても、子育てや親の面倒で働けない人もいる。そういう個々の実情に合わせて保障を考えるべきだと思います。だから、大金持ちも、毎月10万円以下で暮らしている人も一律うん万円出すというような愚かな政策は止めにしてほしい。要は、個々の家庭、個人をよく見極めて対応してほしいと思います。

上の写真は、横浜・みなとみらい地区の高層アパート群の中で見た朝顔ようの花。

Sissel Kyrkjebø - Adagio by Tomaso Albinoni - 2006 - The Most Beautiful Voice In The World - YouTube

 世界一美しい声というタイトルが付いている女性歌手。確かに高音はサラ・ブライトマンに匹敵します。