つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

飲み屋も色分けされる台湾の選挙

 台北に6日間ほどいて、台湾の総統選の模様を見てきました。大陸の独裁政権チベットを力で弾圧して恥じないまさにその時に、同じ中国人の台湾は民主的な選挙を展開していました。この差を、われわれを厳然と理解すべきではないでしょうか。民主社会が先進国家の普遍的な理想であり、それを誇りにしているならば、われわれは強権政治を非難しなければならないし、彼らの覇権主義の野望を打ち砕かなければなりません。
 それはともかく、小生は、台湾の総統選を最初の民選が行われ、李登輝総統が勝った1996年、陳水扁総統が辛勝した2004年、そして今回と現地で見ています(2000年だけはマレーシアのランカウイ島に行っていて行けませんでした)。04年は直前に銃撃事件があって僅差で民進党が勝ちましたが、今回はぼろ負けです。今回、投票日前に、96年選挙で民進党の総統候補になった彭明敏氏、かつて独立運動の闘士だったコ寛敏氏(経済評論家リチャード・クー氏の父親)の2人の民進党後援者と会い、情勢を聞きました。
 彭氏はかなり心配していましたが、コ氏は「もう逆転したよ」とかなり楽観的でした。その日午後、機を見るに敏な李登輝前総統も記者会見を開き、謝長廷支持を打ち出したので、小生もこれはやはり謝が勝つかもしれないと思いました。が、あにはからんや、結果は210万票以上という大差でした。
 世間の選挙分析はいろいろ出ていますが、これはやはり顔の差ではないかと思うのです。馬英九氏はハンサムボーイ、それに対して謝長廷はめがね、ちび、ぶおとこという3弱点を持っています。しかも、馬氏の妻は、ハーバード大時代に知り合った学友といいますが、いつもジーパンをはき、短髪で飾り気のない庶民的なおばさん風。美人とは程遠い。こんなおばさんならば、私の方がましだという女心をくすぐって、馬の人気はうなぎ上りなのかも知れません。現に、国民党の集会では、馬の人形を胸に抱いて、感極まり嗚咽している女性もいた。
 一方、謝の奥方は、台湾大学での謝の同窓ですが、ちゅっと見美人のエリート風。美人はともかくそのエリート臭が見えているのが難点で、これでは、女性票は集められません。現に、今回の選挙で女性だけの票の行方を見ると、150万票、馬の方が多かったのです。台湾の女性がすべて候補者の見てくれで判断するほど軽薄だとは思いませんが、かなり影響したとは思います。
 下の写真は、日本人がよく飲みに行く林森北路の飲み屋街にある「茶々」のホステスさんたち。劣勢にもかかわらす、ママ(左から2番目)をはじめ熱心な民進党の支持者で、同党のカラー(緑)を顔や腕に印刷していました。いずれも、民進党の地盤である台南の出身者。小生が「藍(国民党系)の支持者が来たら、どうするの」と聞いたら、「来ないからいいの」とあっけらかんとしていました。台湾の飲み屋ははなから、政治的色分けがあるようです。