つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ソマリア沖海賊退治は当然の営為

 経済政策ではぜんせん指導性が発揮できない麻生首相ですが、”得意”の外交では面目躍如の感があります。それは、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策のために、自衛隊の派遣をすばやく決めたことで、大いに評価できます。これはもともと民主党が言い出したことなので、まさか国会で否定されることもないでしょう。
 19世紀以前でもあるまいし、物資が世界中を駆け巡っているこの世紀に、今どき海賊がいること自体、信じられないことですが、これは現実で、ソマリアではすでに海賊をビジネスとして巨大なシンジケートができあがっているそうな。彼らは、船、船員を人質にして船主から身代金を取るわけですが、その額も半端でなく、数億円単位というから、極貧国の彼らにはやめられない商売でしょう。
 ソマリア沖はインド洋から紅海、スエズ運河を通って地中海に到る重要な海洋交通路にあたるところで、こんなところで海賊が跳梁跋扈されていてはたまりません。国連の決議に基づき、中国はじめ各国が軍艦を出し始め、海賊退治に乗り出しましたが、貿易立国であり、海洋路は死活的である日本もこれに応じたことは、ある意味、当たり前なことなのだと思います。
 ただ、問題は自衛隊の活動にはかなり制限があることです。あくまで自国民の防衛にあたることが使命とされ、例えば外国船が海賊にやられているのも見ても、見ぬふりをしなければならないことがそのひとつ。ま、集団的自衛権ついて「保持すれど、行使できない」(法制局見解)などと言っている我が国の建前上からは、そうなんでしょうが、でも、実際に外国船が攻撃された時、見て見ぬふりなどできるのだろうか。
 もうひとつ重要なことは、これまでのPKOと違って今回は発砲(威嚇発砲でも)するケースが出てくると思うのですが、今の自衛隊の立場から言えば、相手が発砲しない限り、こちらから先に撃てないことになっています。つまり、軍の法律、軍事法廷がないので、自衛隊員の行動はあくまで一般裁判所で、刑法上で裁かれるわけですから、正当防衛以外に先に発砲することは無理です。もし、そんなことをしたら、したり顔の左の人たちは、刑法犯として告発する可能性もあるでしょうから。
 そんな手足を縛られた形で、任務に就く隊員もたいへんだと思います。外国での自衛隊の軍事活動を明確にした法律を作るべきなのでしょうが、これはやはり憲法違反になってしまうのかな。小生は、田母神元空幕長の歴史認識には同調しませんが、彼の言っている現在の自衛隊に漂う閉塞感は理解できます。
 下の写真は、これまた香港の写真。手前に見えるのは、われわれがよく泳いだ大浪・ハムティン湾の海岸。小生が香港に行った1994年ごろは、まだ行く人も少なく、西洋人のヌーディストビーチでした。今は香港人がわいわい押しかけ、徐々に湘南海岸化しています。遠くに見える左側の先端とがった山が、前の日記で紹介したシャープピークです。