つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

トリチウム水の海洋投棄、仕方ない選択では

 福島第一原発事故で発生したトリチウム汚染水の海洋投棄が決まりました。韓国などがガーガー言ってますが、そもそもこのトリチウムってそれほど危険性があるものなのか。もともと自然界にも存在する物質であり、12,3年で半減期に入ると言われています。希薄化して徐々に海洋投棄するならば、それほど影響がないものと小生は考えます。風評被害を心配する漁業関係者らのことを考えれば、できれば海洋投棄などは避けたいことですが、このままタンクで溜め続けるわけにもいかず、やむを得ない措置だと思います。

 この海洋投棄で思い出しました。小生がかつて駐在していた香港では糞尿を海洋投棄していました。香港の高層ビルには飲料用の水とトイレ・フラッシュ用の水の2つの管があり、トイレ用の水は海水を使っていました。飲料水が貴重な香港では、日本みたいに飲み水をフラッシュに使うなどという”贅沢”なことはしていません。そこで海水とともに溜まった糞尿はどうするか。海に流すのです。確か聞いた話では、香港島から外洋(南シナ海)10キロ沖合まで海底導水管があり、その管を使って垂れ流しているそうです。

 香港の有識者は「外洋に流せば、魚のえさになるので一石二鳥。問題ないどころがメリットが大きい」などと笑って話していました。確かに、汚いと言えば汚い話ですが、小生がいた20数年前にはまだ糞尿水を大量処理できる技術も工場もなかったと思いますので、致し方ない処分方法かと思います。ただ、外洋10キロというのは本当かどうか分からない。あるいはもっと投棄用の管は短かったのかも知れません。

 というのは、香港島南部にある石澳とか赤柱半島(スタンリー)の海水浴場にトイレットペーパーらしき紙が流れ着き、海水浴客の皮膚に巻き付くという、まことしやかな話もありました。投棄用の管が短ければ、海流の関係で島の方に流れてくる可能性がないわけではありませんね。でも、巻き付く紙にしても、海水で十分洗浄されているので、嫌な感じはしますが、ものすごい汚いものではないように思われます。むしろ、皮膚に巻き付いたら、「こりゃ、今年の夏はウンが着いた」とダジャレの一つでも言って喜ぶべきでしょう。 

 その香港でむしろ問題なのは放射能量。ガイガーカウンターで測定してみると、放射線量は東京の比でないくらいに高い。これは当地の人はほとんど知っていることですが、人々の暮らしに即影響を与えるほどの量でもない上、金融、商業発展都市としてのイメージや、高値安定の土地価格を落としたくないということで、だれもが口をつぐんでいます。この放射線量の高さの原因は、対岸の広東省にある大亜湾原発からの放射能漏れではないかと言われています。でも、これも「香港の都市の魅力」維持のため、中国国内では公的マスコミも取り上げないタブーとなっているため、あまり人口に膾炙していません。

 で、福島のトリチウム汚染水の話に戻します。投棄というと、福島県民や漁協関係者は「福島沖ではないか。風評被害が心配だ」と思いがちですが、心配ご無用。政府はかなり外洋での投棄を考えているようです。汚染というなら福島産魚介類だけの問題でなく、太平洋産全体の問題になります。それに環境基準を無視するような線量でなく、太平洋全体で見ればほとんど影響がないものと思われます。

 あくまで投棄に反対の左派系の人たちがいますが、そういう人たちに逆に聞きたい。「じゃ、どうすればいいんだ。永遠にタンクに溜め続けるのか」。理想論を言っても切りがない。現実との折り合いの中でなんとか解決策を考えていかなくてはならないということではありませんか。

 上の写真は、横浜みなとみらい地区ポートアイランドワールドポーターズ・ショッピングセンターのデッキにあった花。花名を知らず。