つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中国のゴマスリも他山の石

higurashi-takanori2009-05-20

 小生は長い新聞記者時代に固く心に誓っていたことがあります。それは、できることならば、上役にゴマは摺るまい、ゴマスリなどしないで人生を送りたいということでした。でも、会社を辞めたあと、さまざまな経験を積むことで、やはりゴマスリも社会生活で必要ではないか、必要が言い過ぎなら、必要悪なのではないかとしみじみ思うようになりました。
 最近、中国の情報に接していたら、中国のトップ胡錦濤総書記の後継者と言われる習近平国家副主席に早くもゴマをする地方幹部が出てきており、どの世界も変わらないのだとしみじみ思いました。それは、河南省共産党委員会のトップである徐光春書記。彼は最近、傘下の幹部たちに対し、習近平副主席が4月初めに同省を視察した際の発言を徹底学習するよう呼びかけたのです。
 習副主席が河南省を現地視察した際、同省蘭考県の元書記である故焦裕録氏の墓や遺族の家などを併せて訪問し、同氏の革命精神を高く評価する談話を出しました。焦裕録氏というのは、1964年に肝臓がんで死去する寸前まで、犠牲的な精神を発揮し人民に奉仕したとして、毛沢東主席から高く評価され、文革期に革命模範として彼に学ぶよう全国に指示が出された有名人物です。
 かつて党中央の宣伝部副部長をしたこともある徐光春書記は、この現地視察のあと透かさず、「習近平副主席の重要講話を深く徹底的に学習し、焦裕録同志の精神を広めよう」などという声明を出し、その中で随所に習近平氏の名前をちりばめ、持ち上げたのです。
 地方の省党委書記はこのままのポストで引退するか、それとも北京に戻り、党中央や国務院の幹部になるかの瀬戸際に立たされており、中央指導者との関係を密にすることが出世の条件とも言われています。習副主席は、中国の最高指導者である次期国家主席、総書記に一番近いポジションにいるだけに、徐書記の声明は、自らの出世のためのゴマスリとみられても致し方ないでしょう。
 それにしても、次の人事が行われるのは2012年秋開催予定の次期党大会であり、まだ3年以上もあります。時期尚早の感がありますが、そこはそこでゴマスリというのは早ければ早いほどいいということでしょう。われわれも、世渡りをうまくするため、他山の石としなければならないのかも知れません。
 下の写真は、ゴールデンウイークの黒部・立山旅行で、トロッコ電車に乗り、鐘釣というところに行ったときのもの。川のそばには温泉が湧き出し、人々は足湯をしていました。朝、夜の大勢人が来ないときは、川沿いを掘って、露天風呂を楽しむ人もいるそうな。