つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「人を残すが上」は正論

 小生がひいきにしている野球チーム「楽天」の前監督、野村克也氏は常日ごろからこんなことを言っているそうです。「財を残すのは下、仕事を残すのは中、人を残すのを上とす」。彼は、いろいろなところで監督をするたびに、他球団で解雇された選手を引き取り、「野村再生工場」などと称して、選手の再生を図っていました。
 また、データにもとづいた彼の野球理論は超一流であり、その理論の素晴らしさは、教えを受けた選手の多くが絶賛し、彼らの精神的財産としています。野村氏と言えば、あの奥方も含めて財(金)にうるさそうに見えますが、実態を見れば、「人を残す」という彼の主張はやはり本物なのでありましょう。
 人が生きた証というのは、やはり先人の思いを後世に伝えるということでしょう。金は墓場まで持っていけませんし、享楽で使い切ったところで、ぜいたくは切りがないのですから、棺桶に片足を入れ、人生を振り返ったときに充足感は得られないはずです。仕事を残すのは悪くないですが、これも時代とともに変化していくもので、所詮はいずれ消えさる運命にあるのでしょう。と考えると、精神の継承、精神を伝える人を残すことがベストであるのは容易に分かります。
 小生は子供がいないせいか、授業中、学生に人生訓の説教をかましています。あくまで、「先生はこうしてこなかったので成功しなかった。君たちは先生の生き方を反面教師として学べ」という形の説教です。学生たちは今は実感がないかも知れないが、将来「あの先生が言ったことは間違いではなかった」と少しでも思ってくれたら、これはこれで小生の思いが継承されるわけですから、ハッピーなこと。小生がこの世に生きた証となると信じています。
 下の写真は、上海の定宿L−ホテルの玄関付近。こじんまりとした洋館のこのホテルは小生のお気に入り。上海ではいつも泊まるため、ホテルの従業員とも顔なじみになりました。