つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

青森のリンゴは中国でも売れる

 先週三連休に、一泊二日の日程で青森に行き、リンゴ農家を見てきました。知り合いの中国人実業家が黄リンや富士など高級リンゴを中国に輸入したいので青森にビジネスに行くから、同行しないかということで、ご一緒しました。行先は同県平川市にあるリンゴ農家。小生は、毎朝必ず1個は食べるほどのリンゴ健康法の信者であり、リンゴは大好きなのですが、今回の見学で改めてリンゴ育成にかける農家の思いを感じました。
 リンゴは稲作などに比べてたいへん、手間ひまがかかる作物です。見学した農家は第一に、有機農法の実践者であり、土作りから始めた人なので、とりあえず生産に入るまでにすでに多くの労力を費やしています。生産に入ってからは、冬にまず木の剪定。実をつけても、あまりにも多数が成ると、味や大きさに影響が出るので、間引きます。さらには、リンゴは太陽がまんべんなく当たるように実の周辺の葉っぱを取ったり、実を定期的に回転させたり。場合によっては、下の方も赤くなるよう、太陽光反射のための銀紙を引くこともあるそうです。その点、田植えをしたあと、ほとんど手間がかからない稲作とは大きな労力の違いがあります。
 だが、その労力に見合って確実に収入が上がるかと言えば、そんなことはなく、あくまで価格は市場に左右されるので、豊作になれば、コスト割れを起こすこともあると言うのです。さらには、自然災害も大敵。台風などの大風で成熟する前に落果してしまうことがあるそうで、「台風が来たときにどんな対策を取るのですか」と聞くと、「いやー、それは神棚に向かって祈っているだけ」と冗談ともつかない答えをしていました。驚いたことに、リンゴ農場には大型の扇風機が数台ありましたが、これは空気の流れを起こして霜よけするものだと言うのです。
 そうした手間ひまかけたリンゴだけに、木から直接もいだ実のうまさには驚かされました。明らかに、スーパーで買う商品の味とは別のものでした。リンゴ大量購入の意欲を見せる中国人ビジネスマンも、このうまさにほれ込み、「これは中国で売れる」と確信、その場で、「今、冷蔵保管しているリンゴすべてを購入したい」と持ちかけていました。中国には、日本食品にほれ込む多数の金持ちがいるので、たぶん、北京、上海などではすぐに売り切れてしまうでしょう。
 リンゴ農家のご主人も、新たな消費地が開拓できたとして大喜びでした。でも、日本人の感覚からすれば、日本のうまいものが次から次に中国に買われてしまうと、日本に残らなくなってしまうのではと心配な面もあります。
 下の写真は、中国人ビジネスマンが交渉したリンゴ農家の友人がやっているリンゴ農園を訪ねたところ。この人も平川町最大10ヘクタールの農地を持つ豪農でした。