つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「趙紫陽極秘回想録」という本

 21年前の1989年6月に起きた天安門事件で失脚した趙紫陽元中国首相の極秘回想本が出版されました。もともと、この原本は英語版であり、そのあと香港で中国語版となり、さらにこの1月、日本でやっと英語版からの日文翻訳本が出ました。天安門事件20周年の昨年がグッドタイミングでしたが、今年も趙紫陽氏が死んで5周年ということで、まあまあいいタイミングということでしょう。
 英語版からの翻訳ですから、中国の細部について不明なところが出てくる可能性があったことで、小生が翻訳の監修に当たりました。おまけに、恐れ多いことですが、解説まで書いています。その本が下に掲げる「趙紫陽極秘回想録―天安門事件「大弾圧」の舞台裏!」(光文社刊行、2600円と消費税)です。ご興味のおありの方はぜひ一読ください。
 出版元の光文社の編集担当者によりますと、出だしは好調とのことです。この本のサイトを見るため、検索していたところ、コメンテーターの有田芳生氏がこの本を「高い値段の本」と言いながらも、絶賛していました。「静かなる男」趙紫陽が語り残した中国指導部内の暗闘の歴史です。権力中枢の当事者が生々しい事実に触れたのは、少なくとも新中国誕生後はこれが初めてであり、そういう意味では、大いに価値ある本と言えましょう。
 小生は北京で記者をしていたときから、胡耀邦氏や趙紫陽氏に人間的魅力を感じていました。ですから、胡耀邦氏に続き、天安門事件趙紫陽氏が失脚したときは本当に悲しい思いをしたものです。2006年夏、江西省にある胡耀邦氏の墓、共青城を参ったのち、北京を訪問し、王府井近くの富強胡同にある趙紫陽氏の自宅を訪ね、家人に花束を渡してきました。
 中国は今、経済大国になりました。が、もうひとつ、何かが足りません。アジアの周辺国をして本当に中華の威厳を感じせしめるためにも、劉暁波らの民主活動家を逮捕、監禁したりせず、政治的に懐の深い姿勢を見せてほしいと思います。
 下は光文社の「趙紫陽極秘回想録」のサイト。
http://www.kotensinyaku.jp/news/content25.html