つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

中国こそ台湾攻撃ミサイルを撤去せよ

higurashi-takanori2010-01-31

 中国は今、アメリカが台湾に、パトリオットの迎撃ミサイルやヘリコプターを売却することに反対し、強烈な抗議行動を行っています。台湾は自分の領土であるから、国内の反中央勢力に武器を売るのはけしからんという理屈です。一見、理解できる感じの論理でもありますが、取り巻く環境のおかしさ、背景を見れば、それでいいのかということになってしまいます。
 中国は、台湾に向けて1000発以上の中距離攻撃ミサイルを配備しています。1996年の台湾海峡危機のときには、小生は実際に台湾で取材活動に当たっていましたが、中国は台湾の高雄、基隆沖合にミサイル数発を撃ち込んで、台湾初の全住民による総統選挙を妨害しているのです。
 この台湾海峡危機は米国クリントン政権が空母2隻を送って介入し沈静化したのですが、それ以来、中国側は自らの無力を知り、むしろ台湾に向けたミサイル攻撃力を増強しているのです。これに対し、台湾側が防衛を固めるのは当然の権利で、それは、台湾がたとえ中国の一部であっても、領土の安全保障は重要でありましょう。しかも、パトリオットは防御の兵器であり、なにも、大陸を攻撃する武器ではないのですら、それほど目くじらを立てる必要はないはずです。
 今、中台の関係は悪くなく、経済を中心にかなり交流が進んでいます。そうであるならなおのこと、中国側はまず、台湾に向けたミサイルを撤去して友好の意を表すべきです。自らは海峡をはさむ攻撃力を保持あるいは増強して台湾側に対し軍事的優位に立ち、無言の圧力をかけておきながら、お前はミサイルを防ぐ兵器を持つとは何事かというのは、どうも本末転倒、理屈に合いません。
 中国は共産党一党独裁国家で、民主主義が行われておりません。台湾には一国二制度統一国家を作ろうと求めているわけですが、では、一国二制度の先例である香港、マカオが制度実施後10−12年たって完全に民主主義を勝ち得ているのか、という疑問を呈したくなります。残念ながら、この両地に共産党を批判できるだけの十分な自由はありません。ですから、すでに政権交代も行われている台湾が中共の軍門に下っても意味がないのです。
 小生は、取材でしばしば台湾を訪れていますが、台湾の文化、習慣、何を取っても、中国大陸とほとんど一緒です。ですから、根っこは中国にあることは明明白白でしょう。台湾に住む人も、もし、大陸が真に民主主義の自由な国になったら、統一することに反対するでしょうか。いや、むしろ進んで大陸と一緒になろうという気運が高まるはずです。ですから、中台問題を解決するには、大陸の政治制度の変革こそが必要であるのです。
 下の写真は、1月のある日の浅草・浅草寺の大門。外国人が大勢来ていました。やはり、ここは東京でも有数の観光地なのでしょう。