つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

お手軽決着でいいのか

 上海万博のテーマソングとなった曲がどうも日本の岡本真夜さんのヒット曲とそっくりという疑惑が持ち上がりました。ヒット曲なので、当然、香港でも大陸でも流れたメロディーであり、多くの人が万博ソングとの類似性にすぐに気づくはず。ですから、もし盗作だとしたら、ずいぶんこの盗作者は大胆だなと思います。思わず、この人は盗作でなく、倒錯しているのではないか、などのダジャレの一つも言いたくなってしまいます。
 この盗作話について、いつもは中国に迎合的な朝日新聞がめずらしく天声人語の中で、厳しい言葉で批判していました。問題が顕在化したあと、万博実行委が岡本さんに「あの曲を使わせてほしい」と申し出て、岡本さんも「すてきなお話です」という形で、類似性を認めて、双方が穏便に手を打ったということですが、これに対し朝日の天声人語氏は「謝罪という手順を吹っ飛ばして、万引きの犯人が、そのあとに『倍払うから許して』と言っているようなものだ」と書いたのです。
 正論すぎて思わず拍手してしまいました。朝日にしては、珍しく厳しい物言いです。著作権無視、コピー天国の中国ですが、もう世界で二番目の経済力を身につけている国なのですから、こうした知的財産権の保護にはもっと配慮が必要だと考えるのは当然です。本来は、当局側はこの作曲家にはっきりと盗作と認めさせ、謝罪させてしかるべきなのです。
 しかし、上記のように玉虫色の決着で、盗作なのか、どうなのかという点について、当局も明らかにしていません。岡本氏に話を通したことは、似ていることについては認めたということで、岡本さん側に一定の補償金が支払われるということのようです。天声人語氏も「お手軽にして珍妙な落着だ」と呆れていますが、その通りですね。日本側も、著作権保護に厳しい目を向けていくなら、お手軽決着は避け、厳しくその経緯を明らかにするよう要求すべきです。なにしろ、国際的なイベントである万博のテーマソングなのですから。
 下の写真は、先週末に桜木町の野毛、吉田町、伊勢佐木町商店街で行われた大道芸まつりのときのもの。2枚とも吉田町の路上の光景で、画材店が多いこの街は美術の展示が売りになっています。