つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

情報提示プロセスは大事

 たとえば、こう考えると、鳩山首相のばかさ加減が分かると思います。父親が子どもに「正月は例年通り、お年玉1万円やるよ」と年末辺りに約束したが、実際正月になると「やっぱり、父さんは金ないから、5千円で勘弁してくれ」と言うケース。これに対し、年末に「父さんの会社、景気悪いから、××坊、正月の年玉は5千円になるかも」と事前予告し、実際に正月に例年通り1万円をあげるケース。どちらが、実際、正月に子どもの喜ぶ顔が見られるでしょうか。
 これは火を見るより明らかです。あらかじめ、悪い情報を入れて、あとから、結果がそれより良かった方がはるかに人間の印象はよくなります。今回の首相のやり方は全く正反対で、初めはおいしい話をして、後からそれには及ばない事実を突き出した形でした。これでは、沖縄県民は怒るでしょう。なんでも、情報提供の手法、手順というのは重要なのです。
 なぜ、最初から「国家間の約束は政権が変わろうと、守らなくてはならない」と前置きして、辺野古に移るという自民党の踏襲案を示し、それを前提にしながらも、「できるだけ負担軽減に努めたい」としなかったのでしょうか。そうしていれば、これほど事態は混乱しなかったと思います。
 米、沖縄地元民との調整の結果、頂上まで8合目というところまで行っていた案を、安全保障のことが何も分からない「おじさん」が荒唐無稽な話でガラガラポンにしてしまいました。これでいったい誰が得をしたのでしょう。
 日本の安全保障のいい加減さが暴露され、台湾、韓国、ASEAN諸国は多分、呆れているし、もう頼みにできないと感じたことでしょう。沖縄、先島諸島の列島線を突破して海洋支配に乗り出したい中国や、日本を脅せば経済支援が勝ち取れると考えている北朝鮮辺りは多分喜んでいるかも知れませんが、、。
 いずれにしても、最終的に辺野古移設の旧案で行くことが確認されたので、米国、韓国、台湾は一安心でしょう。でも、負担軽減を言われ、いったんは喜びを感じてしまった沖縄県民を今後、なだめ説得するのはかなり難しいことになりそうです。
 下の写真は、小樽旅行でたまたま訪れた「にしん御殿」の門。もともとはにしん漁で大儲けした漁民の家ですが、今では、「貴賓館」という名になっていました。