つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

劉暁波氏、ノーベル平和賞受賞の意味

 ノルウェーノーベル賞委員会がこのほど、中国の反体制活動家、劉暁波氏にノーベル平和賞を授与したというのは、ある意味、エポックメーキングで、大きな意味があると小生は感じました。これは、中国にしてみれば、たいへんな内政干渉でしょうが、西側からすれば、「中国よ。もういい加減に一党独裁を捨てて、自由と民主主義の国になれよ」という強いメッセージなのです。
 春にあの天安門事件があった1989年の秋のノーベル平和賞受賞者はチベットダライ・ラマ14世でした。なぜ、天安門広場民主化運動を進めた学生などの活動家にこの賞を与えなかったのでしょうか。どうして、間接的にダライ・ラマへの授賞だったのか。このときは、まだ西側に遠慮があったように思います。中国に民主主義はまだそぐわないという西側の暗黙の了解があったのです。
 しかし、今は違います。中国は世界第2位の経済力を誇り、一人当たりのGDPも3000ドルから4000ドルに迫っています。こういう今や、世界に大きな影響力がある中国がいつまでも北朝鮮のようなことをしていいのか。もう、世界標準のルールに従うためには、民主主義を導入した方がいいのではないですかという、実は、西側先進国全体の要求なのです。それをノルウェーが端的に表現したに過ぎません。
 第一、温家宝首相は、さきほど香港に近い経済特区だった深センで、「経済改革の延長線上に政治改革がある」と指摘し、政治的な変革を強く求める姿勢を示しました。他人が言う前に、すでに国内指導部内ですら、すでにそうした動きに出ているのです。今回の賞授与は、その流れを勢いづかせたいという西側の目論見があったのかも知れません。
 もちろん、共産党内の既存権益を持つ人たちは民主化には反対していますが、もう大きな流れとして中国は民主化へのプロセスに入ったといっても過言でないと思います。ですから、小生は、このノーベル平和賞を契機に底辺でさらに大きなうねりが生じるのではないかと考えています。
 外交部(外務省)は今回の一件を無視すればいいものを、いかにもセンシチブに反論しています。自信があるならそんな過剰反応は避けるでありましょうに、そうしないということは、重大な意味としてとらえている証拠です。
 下の写真は、中国の珠江デルタ、東莞市のシンボルとなっているゲートをバックにした小生。