つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

なぜキツネ目男、誰何できなかったか

 昨日、NHKのスペシャル番組として放映された「未解決事件−グリコ森永事件」は、久しぶりにおもしろいドキュメンタリードラマでした。あの事件は、小生にとっても忘れられない事件です。と言いますのは、小生、あの当時、ちょうど通信社の北京支局から日本に戻り、社会部に配属され、デスク周り遊軍記者の末席にいたからです。東京での傍観の立場とはいえ、あの報道協定があったハウス食品恐喝事件での追尾劇は、刻一刻と東京にも伝わり、強烈な印象として残っています。
 NHKが新たな声紋鑑定によって、指示内容を吹きこんだ少年は2人で、女性は中年でなく10代の女の子だったと明らかにしたのはすごい新事実だと思います。少年は1人、女性は中年というイメージだったからこそ、警察も報道も多分、ある典型的な親子関係のある家族の中で行われた録音とみなされ、これがその後の捜査を大きくミスリードしてしまいました。
 少年が2人、少女が1人ということは、これはかなり結束の強い集団か、あるいには外国による綿密計画、計算された犯罪であることがうかがい知れます。さらに、グリコの社長監禁事件では、最初に複数人がライフル銃、猟銃のようなものを使っていました。こうした長銃を複数で集められるというのも、かなり力の強い集団か外国がバックに付いていないとあり得ないかと思います。
 それから、大阪府警のデカが二度にわたってキツネ目の男に接近していたというのも初耳でした。そして、現場からこの男を職務質問したいと本部に要請、本部がこれを却下していたことも明らかにされました。確かに、四方修元大阪府警本部長の説明のように、現場を押さえて証拠性を高めるというこの種事件のセオリーや、のちのち一味の一網打尽を考えれば、泳がすために職質止めの判断もあったかも知れません。
 でも、最初に電車で見かけた男が大津サービスエリアに再びいたとなれば、この男のあやしさはもう疑う余地はないですし、府警のデカは当然職質して身柄拘束し、その辺のところを聞いてもおかしくないはずです。少なくとも、本人が100%関連性を否定しても、彼の身元は明らかになるのですから、あとでゆっくり彼の周辺の捜査をし、証拠を集め、一味の実態を解明すればいいのです。
 「一点突破全面展開」という言葉がありますが、返す返すも彼の身柄を確保し、その身元を明らかにしておくべきでした。これは、結果論ではありません。こうした印象を持つ視聴者は少なくなかったと思います。四方元本部長には彼なりの論理があるのでしょうから、今さら、批判してもしかた(?)がないこと。せめて、府警のデカが本部の命令を無視しても、キツネ目男を誰何できなかったのかとくやんであまりあります。
 下の写真は、上海市郊外の区政府役人をやっていて、その後、企業家に転身したオバマ大統領似の中国人と、その区政府時代の元同僚たち。