つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

TPP反対論者は今ぬくぬくしている人

 TPPをめぐる政党討論を聞いてて分かったのですが、政党総体としてTPPを支持しているのは「みんなの党」だけなんですね。自民も民主も党内が賛否両論で割れているし、宗教政党も毛ばりの左翼政党はもちろん反対を表明していました。これを見てフフーンと独りごちてしまったのは、日本にはいかに現状破壊を嫌がる人、保守的な人、政党が多いかということです。そう見てくると、皮肉な言い方になりますが、日本の現状って結構いい状態なんですね。
 毛ばりの左翼政党は結局、将来のこと、未来の国家像など何にも考えていない、ただ一部の人の目先の利益を追うだけのでたらめな集団であるということがよく分かりました。端的にその矛盾を指摘しましょう。彼らは軍事力増強反対などと訴えていますが、長期的なビジョンとして武器のない世界を求めるならば、平和的な環境作りが必要であり、国同士が抜き差しならない相互依存関係を作ることが大事です。TPPは少なくとも国際分業化を進める動きであり、相互依存関係を作るものです。それなのに、どうして反対できるのでしょうか。
 TPP反対論者をよく見ると、農業、医療関係者が多いです。彼らの実態をさらによく見ると、農業補助金とか、政府が医療費のほとんどを負担する医療制度という国の枠組みでぬくぬくとしている人たちなんですね。農業は会社経営を認めないゆえに、個人が補助金を受けながら営農する仕組みになっていますが、却ってこれが原因で農業の近代化が遅れ、米国などに比べて生産コストはかなり高いものになっています。
 医療関係者は、日本国内だけで”安全に”守られている医療制度が外圧によって壊されることを恐れています。今の医療制度は、医者とくに開業医にとってはうまみのある制度ですが、国際的な人とサービスの自由化はこの制度を徐々に蝕むことになりかねません。つまり、今の制度でぬくぬくしている人は、TPPでぬくぬくできなくなる。ただ、国民目線からはっきり指摘しなければならないことは、こうしたぬくぬくのために、相当の税金が使われているということです。
 小泉改革のときもそう思いましたが、日本が国際競争力を強めるきっかけになる動き、それがたとえ外圧によるものだとしても好機ととらえていいのではないでしょうか。先進国であれば、むしろ率先して国際競争を主張し、それに負けないもの作るんだという覚悟を見せるべきでしょう。政治家が今しなければならいのは何が何でも反対ではなく(実はこれが一番安易)、国際競争に打ち勝つ体制作りではないですか。
 これまで世界はGATTやWTOを通じて、国際的な垣根を取り払おうというトレンドにありました。わが国もこうした動きを承認し、推進してきた国として、その延長にあるTPPに反対すべきではないと小生は愚考します。
 下の写真は、南寧市の会議の入り口付近に並んでいたレセプションレディー。彼女らは、地元の少数民族チワン族の民族衣装を着ていますが、必ずしもチワン族の人だけではないと思います。