つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

死亡情報、取れなくてしょうがない

 人間、当事者でない場合、とかく他を批判したがるものですね。マスコミは特にそうで、99%うまくいったことでも、1%の瑕疵があった場合、それを批判しますし、その批判の姿勢がジャーナリズムの本質だと言う人もいます。でも、今ではマスコミの世界を離れた小生から見ると、この在り方はなんかおかしな感じがしてしょうがないのです。
 たとえば、きょうのNHKニュースでも取り上げていましたが、日本政府はなぜ19日正午の北朝鮮の発表前に金正日将軍の死亡情報を入手できなかったのか、特別発表があると分かっていてなぜ野田首相は官邸を離れて、街頭演説会場の新橋駅前に向かったのか−などなど。重箱の隅を突くような指摘がされています。
 ですが、発表前に入手できなかったのは、韓国や米国も一緒。中国は17日には分かっていたと言うけどこれも怪しい、たぶん19日の発表直前ではないでしょうか。今回、北側がかなり情報統制を敷いていたために、情報が洩れなかったのであり、事前情報入手できなかったのは、日本のインテリジェンスがお粗末であるからなどという非難は当たらないと思います。
 第一、北朝鮮内にスパイ網など張れない日本がどうして北の最高機密をすぐに入手できるのですか。むしろ、事前に情報を入手できるようなインテリジェンス組織を持っていたとしたら、逆に多くの民から、日本国憲法を逸脱していると批判されてしまうでしょう。もし、戦前のような高度な組織を持つとするならば、国民のコンセンサスを得て憲法を改正するしかないのです。死亡の事前情報キャッチよりは、北の軍隊を絶えず監視し、日本に危害が及ばないようこちらの態勢を整えていくことこそ大事です。
 特別発表の告知を知りながら、野田首相が官邸を離れたことへの問題視ですが、これも別に遊びに行くわけでもなく、東京から遠く離れるわけでもなく、官邸から目と鼻の距離の新橋に向かうのであって、その気になればすぐに戻れる距離です。そんなことに目くじらを立てる必要はないでしょう。
 ついでに旧聞に属しますが、一川防衛大臣が就任時に「防衛の素人が大臣をやるのが本当のシビリアンコントロール」と言ったことが批判されました。あの小沢一郎御大の子分のような人をかばうつもりはないのですが、これにも小生ちょっと疑問を感じました。批判した自民党に聞きたいのですが、「では、自民党政権時代、防衛庁長官になった人で、本当に国際政治や軍事が分かるプロがいたのですか」。
 まあ、しょせん専門家でもない政治家が大臣になるのですから、どの省庁の大臣も就任時は皆素人ではありませんか。一川大臣はそれを謙遜の意味で言ったのでしょうから、そんなことでいちいち揚げ足を取ることはないのです。大臣になってから勉強し、主たる政策が分かればいいのであって、要は就任してからの姿勢が大事なのです。自民党や一部の民主党員、マスコミも含めて、そうしたことを十分熟知しているはずなのに、「素人が就任とはなんだ」という問題視にはいささか驚きました。
 下の写真は、石巻市の河口付近にある民家。3,4メートルの津波で、家屋の一階部分が完全破壊されています。