つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

オバマは社会主義者か

 年が明け、とうとう2013年になりました。小学校のころ、21世紀なんてかなり遠い先のことと思っていましたが、その21世紀になって早くも丸12年が経過してしまったのですね。感慨無量です。そして小生の歳も確実にまた一歳刻まれていきます。果たして小生の人生はこれからどうなるんだろうと、テレビドラマ「JIN―仁」の再放送を見て、しみじみ思いました。
 ドラマ「仁」では、坂本龍馬が主人公の南方仁が未来から来た人間であり、歴史上のことを知りうる立場にあることを承知しながら、自分の行く末、人生の結末を尋ねることなく、「人間は一歩一歩行くしかない」と漏らすところは、何か感動させるものがありました。本当に自分の行く末、人生の結末など知ってしまったら、そんなつまらない人生もないでしょう。
 ところでそれはともかく、米国の与野党は年末ぎりぎりに「財政の崖」という事態を避けるため、一連の回避法案を通すことで合意しました。ブッシュ政権時代の減税法案が2012年末で期限切れとなるので、ほっておけば増税になってしまう。加えて、財政赤字の穴埋めのため併せて緊縮財政策を取ったら、米国は確実にマイナス成長に陥ってしまいます。
 そうなれば、米国発の大不況となり、これが全世界に波及し、20世紀の前半にもあったような世界大恐慌か、そこまで行かなくとも08年のリーマンショックかの再到来となっていたでしょう。合意成立で、米国は当面の危機をなんとか回避できましたし、日本も成立したばかりの安倍政権への打撃を防ぐことができました。ひとまずは良かったということでしょう。
 でも、今回、オバマ政権は、低所得者層の減税維持、富裕層からの増税を決めましたが、これって長続きできるものでしょうか。民主党共和党のスモールガバメントに比べて、どちらかというとビッグガバメント志向。悉皆医療制度の創設意向も含めて民主党はかなり社会主義的な政策を取っています。オバマ大統領は社会主義者なのでしょうか。
 もともとアメリカという国は、自由な天地を求め、アメリカンドリームを夢見てやってきた移民で成り立った国。自由とは条件さえ平等ならば、能力ある人、努力する人が富をつかみ、幸せが求められる社会です。それを壊すような傾向の政策は、長い目で見て米国の力を削ぐような気がしてなりません。
 フランスは社会党のオランド大統領が政権を担ったことで、かなり社会主義的な政策を進めています。特に、大規模製造企業に対して、企業業績に左右される形での労働者の解雇はまかりならんとし、「逆らうなら国有化するぞ」という脅しすらかけています。労働者にとっては確かに幸せなことかも知れませんが、無条件の労働者保護策は、最終的に労働者の勤労意欲をなくし、ひいては企業の力を削ぐことになってしまいます。
 今、世界はグローバル化し、生産と消費は一国内で完結しているわけではありません。ある国の企業の衰退はその国の底力を弱め、他の国の繁栄につなげてしまう可能性がありますし、残念ながら利益至上命題の企業はそれ自体に愛国心はありませんから、所在国の規制が厳しければそこを離れて他国へ、さらには多国籍化していくでしょう。 
 実際にフランスでは、社会主義政策によって地元企業は投資意欲を弱め、外国企業はフランスへの進出を嫌っています。富裕層への増税策によって、かなりの金持ちが隣国のベルギーなどに逃げ始めていることも大きなニュースになっています。親方日の丸的な社会主義経済の結末がどういうものであったかは、すでに20世紀に実験済みであったはずですが、、。それなのに、フランスでは、いやフランスなら分けるけど、あのアメリカンドリームの米国でそういう傾向を強めるとは理解に苦しみます。
 下の写真は、昨年12月初め、大手町の歩道の一角で撮った一枚。ビル街大手町にも紅葉のきれいなところがありました。