つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

桜宮高校の入試中止は過激すぎる

 大阪市立桜宮高校で、バスケット部顧問の教諭が主将の男子生徒を体罰し、その生徒が自殺するという”事件”があったことから、橋下徹大阪市長は、「教師を入れ替えない限り、入試の予算執行には応じない」との強硬姿勢を示しているとのこと。はっきり言って、田中真紀子前文相のケースでもそうだったように、そんなことをすれば、受験生が混乱するだけで、この期に及んでそれはないだろうというのが小生の率直な印象です。
 今まで知らなかったのですが、桜宮高校って市立なのに体育科という特別の入試枠があるのですね。つまり、この高校はスポーツで活躍する人が入りやすい、あるいは入りたがる高校でもあるので、勢いこの学校の体育系クラブ活動はもう楽しむというようなレベルでなく、全国一を目指すような激しいものになったのでしょう。体罰先生がいることも、学校全体として体罰を容認していることもなんとなく分かりました。
 体罰の是非論はともかく、年も明けてさてこれから受験という時期になって、いきなり入試の中止というのはないんじゃありませんか。比較しても意味ありませんが、田中前文相のケースは少なくとも年明け前でした。大学の数が多すぎるという彼女の問題提起自体はいいことなのでしょうが、これまで審議してきたことを一存でひっくり返そうとしたことは無茶苦茶で、大反発を買いました。こういう子供たちの前途に関するスケジュールについて突然、安易に変更するのは、小生は反対です。
 実は、小生自身もこの大変更の影響を受けた一人です。1969年、一浪して満を持して迎えた国立大学の入試は、東大安田講堂の攻防戦など大学紛争のために、東大、東京教育大(現筑波大)の国立有力2大学が直前で丸々入試を取りやめてしまうという事態となり、小生も含めて受験生は大混乱に陥りました。われわれの世代は団塊世代末期でものごく同世代人が多く、しかも国立の他大学が入学者を増やすなどの措置を取ったわけではないので、悲惨さはここに極まれりです。この恨みは生涯付いてまわります。
 小生は幸い他の国立大学に進むことになりましたが、桜宮高校の体育学科を目指してきた生徒は、スポーツで生きようとしている子供たちですから、易々と他高校への志望替えなどできないでしょう。将来設計は大幅に狂うことなります。橋下市長のドラスチックなやり方は概して小生も悪く思っていませんが、入試中止は過激すぎます。そこまで強硬でなくてもいいのではと考えます。
 それとも、橋下市長は、「体罰」というものに激しい個人的な恨みでもあるのでしょうか。あるいは、桜宮高校のケースを利用して、一気に市の教育委員会改革、教職員組合つぶしにかかっているのか。もし、後者だとしたら応援しますが、入試の中止だけは考え直してください。
 下の写真は、バンコクにある中華街の一角の風景。