つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

消費税の軽減税率は必要なのか

 来年4月から消費税が8%に、さらに再来年度には10%に上がります。なにやかやと言っても、野田前首相が頑張ったことによって、日本の財政健全化が図られるようになったのです。増税というのは感覚的にいやだし、できたら避けたい。しかし、国家の存続のため必要であるのなら、是非もない。ギリシャのような破たん国になることが避けられたという意味では、結果としてはよかったと思います。野田さんは、日本国のために頑張ったのですが、民主党マニフェストの中にはなかったことを一生懸命にやったということでその地位を追われてしまいました。本当にかわいそうなことです。
 最初に消費税を導入した竹下登元首相も、それによって内閣支持率を落としています。当時の党内の実力から言えば、本来軽く2、3年首相をやってもよかった人なのに、2年もしないうちに失脚してしまいました。やはり、税をいじる内閣は長続きしないようです。でも、歴史的には確実に評価されるでしょう。反対に、消費税反対で議員増し、「山が動いた」などとはしゃいでいた社会党は、今やどうなっているか。説明するまでもないでしょう。場当たり的ポピュリズムは長続きしないということです。
 ところで、新規消費税の導入で、今問題になっているのは軽減税率。食料品など一部の生活必需品の税率を低く抑えようというものです。自民党は全商品一律の8率、10%導入を目指しているものの、政権与党の公明党が熱心に主張しているため、軽減税率に同意せざるを得なくなりました。どうやら、来年の8%導入時は無理だが、10%導入時には軽減税率が導入されそうです。でも、小生から見ると、軽減商品の選別の難しさや徴税コストなどから考えて、やはり一律に同じ税率の方がいいように思います。
 確かに、フランスやドイツなどで軽減税率は導入されています。総論としては、いい方法であると思いますが、実際、運用するとなると、なかなか難しいのではないかと小生は思います。まず、選別の問題。どれを軽減し、どれを10%のままにするか。食料品でも、ぜいたく品と必需品で税率を変えると言いますが、何をもって「この食べ物はぜいたく品だ」と言えるのか、判然としません。
 また、欧米での例を見ると、ハンバーガーなどをその場で食べると、外食とみなされて一般税率となりますが、テークアウトという形にすれば軽減されるということで、店では「家に持ち帰る」と告げて、実際はその場で食べるケースが多いと聞きます。店員さんもいちいち税率が変わるのでしたら、事務煩雑になって困ってしまいます。
 その仕訳作業は半端じゃないし、ぜいたく品にされては売り上げに響くので、多くの企業は自社の製品がなんとかぜいたく品にならないよう政治や政治家に働きかけるでしょう。そうなると、政治家がしゃしゃり出ることが多くなり、結局、”政治的な判断”が幅を利かせ、利権に結びつき、汚職が増えてしまいます。総論ではいい方法だとは思いますが、その運用はそんな簡単なことではないのです。ですから、小生は、すべての商品は一律の税率でいいのではないかと考えています。
 それでも軽減税率が必要だと言う人がいるのであれば、小生はうまい運用方法をサジェストしたいと思います。それは、環境にやさしいものとか、消費量が多い商品とか、定期的な消費者調査で軽減支持率が高かった品物とか、何か客観的な基準で決められるような形にしたらいいと思うのです。ぜいたく品と一般商品というあいまいな形では、圧力団体や政治家が入り込む余地ができてしまいます。そういう状況はなんとしても避けたいものです。
下の写真も前回と同じように、横浜・伊勢佐木町で見かけたある朝鮮焼肉店の飾り付け。朝鮮焼肉店には似つかわしくない感じです。