つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

軽減税率、やるなら少数のポジティブリストで

 きょう新聞を読んでいたら、自民党の新聞懇話会という組織の議員が同党の税制調査会に新聞の軽減税率を求める意見書を提出したとのこと。懇話会の代表者が読売新聞出身の丹羽雄哉議員ですから、この組織のメンバーのほとんどは新聞社出身であろうことが推測されます。恐らく、新聞社の元同僚、部下らに頼まれてこうした仕儀に及んでいると思いますが、まあ、マスコミと国会議員との親密な関係を利用した手前勝手な行動と言われても致し方ないでしょう。
 消費税は来年春の8%導入が正式に決まって、次の注目点は再来年春の10%導入ということになりました。政権与党の公明党などの要請があるので、この際に、自民党税調は軽減税率を考慮するらしいのですが、小生は、これには反対です。このブログで何度も書いていますが、品目ごとに吟味し、軽減税率などを設けたら、日用品を扱うすべての業界がこの品目指定を求めて政治家に殺到、その結果、”裏のわいろ”が横行するのは目に見えています。
 そればかりか、品目によってその税率を検討するとなると、膨大な事務作業量になるでしょう。第一、ぜいたく品か一般の商品かを区別判断するのは一回だけでとどまりなせん。時代いや年代ごとに再考していかなければならないので、事務作業量は半端ではありませんね。そこで、具体的に徴税コストも増加するでしょう。こんなことで、税務職員をさらに雇ったら、それこそ役人増やしのための増税ということになりかねません。本末転倒で、増税の意味がなくなります。
 確かに、欧州などでは軽減税率を採用しています。ただ、これには問題が多いことは、これらの採用国家で指摘されています。たとえば、ドイツなどでファーストフードを買う場合、「家に持ち帰って食べるのか、外(あるいは店内)で食べるのか」と聞くそうです。家に帰れば、ふつうの食事ということになるので軽減の対象、しかし、外で食べるのは「外食というぜいたくをする」ので軽減の対象にはならないとのことです。これではだれも「家に持って帰る」と言うのでしょうが、同じものを買って、どうして税額が違うのか、多くの人は不合理を感じるに相違ありません。
 冒頭に掲げたケースですが、もし、新聞協会加盟の日刊新聞を軽減化したとしたら、他の新聞はどうなるのか。政治団体や宗教団体の新聞はどうなるのか。業界紙は。いや、新聞だけではなく雑誌もあるので、こちらはどうなるのか。問題は山積です。こんなこと、いちいち区別するなどできないのではありませんか。やはり、徴税は例外規定を設けるべきではないのです。
 もし、どうしても軽減化が必要というのなら、ごく少数のポジティブリストという手法を使うべきでしょう。それは、たとえば米、野菜以外はダメといったような品格指定の形とすべきです。できれば生存に欠かせない品目だけのごく限られたリストにし、新聞などという”ぜいたく品”はこのリストに掲載すべきではないのです。
 下の写真は、中国の珠海からマカオに抜ける「拱北口岸」の全景。10年前は小さな建物だったが、今では大きく、広いゲートに変わりました。