つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

「特定秘密保護」とはいかめしくないか

 特定秘密保護法案なる法律が今、衆院を通過し、参院で審議されています。名前だけ聞くと、なにやらいかめしく、マスコミは取材の自由を侵されるのではないかと心配しています。小生もマスコミ出身なので、一応、取材の絶対的な対象外があることには賛成しません。ただ、いろいろ調べてみると、この法案は日米の安全保障関係を担保するだけのものであることを理解しました。したがって、ことが国家の安全保障にかかわるとなると、小生、ちょっと別の考えを持ちます。安全保障に限定されるのであれば、情報の厳格運用もまた必要かなと思います。
 この法案の目的は、日米が軍事的な情報を共有するため、米側が日本に提供した情報を簡単に外に出してほしくないということから、米側の要求に基づき一定の縛りをつけることにあります。確かに、米側にしてみれば、日本に軍事情報を提供するのはいいが、すぐにマスコミを通じて世間に暴露され、仮想敵国の相手側に筒抜けになってはたまらないでしょう。
 自民党関係者に聞くと、政府が想定するこの軍事情報というのは9割が映像、写真の類いであり、文字情報はほとんどないとのこと。つまり、具体的に言えば、米軍の偵察機が空から中国や北朝鮮のミサイル基地や核兵器の貯蔵庫などを写した映像、写真を縛りたいというのが米側の願いです。日本側に提供されたとき、それが簡単に漏れないよう米側は釘を刺したいのです。そこで、軍事情報を提供するけど、国内法でそれが漏えいしないよう担保せよというのが米側の要求です。
 当たり前と言えば当たり前の話で、米側が秘匿する情報が提供を受けた日本からスルスル出てしまえば、米側は渡すことをためらうでしょう。スパイ衛星などなく、軍事情報を独自で得ることができない日本としては、中国の軍事的な圧力が強まる中、ぜひにでも米の軍事情報は欲しいところ。ですから、軍事情報欲しさに米側に情報を取り扱う公務員の口封じを約束するのは当然のことです。
 現行公務員法でもすでに公務員の秘密保持の条項があり、確か西山太吉・外務省漏えい事件とのときも、この法律で女性事務員が裁かれています。今回の法律は、安全保障にかかわるごく一部の公務員の罰則を少し重くするもので、一般市民には関係ありませんし、安全保障以外の秘密が縛られるものでもありません。ですから、「特定秘密保護法」などと銘打つのはいかにもいかめしく、戦前をほうふつとさせるから感心しません。小生に言わせれば、「特定秘密」ではなく具体的に「安全保障情報」とし、「安全保障情報厳格運用法」にしたらいいのではと思っています。
 国家の安全保障は重要です。領土(尖閣諸島など)が今、他国から狙われているとき、こんな視点をまったく考慮せずにノー天気に「なんでも秘密にされてしまう」などと言って反対する野党や左翼反対派には困ってしまいます。これでは、やはりためにする反対でしかありません。民主党もこんなことで反対をしたら、またまた票を減らすことになるでしょう。安全保障を考えない政党は社民党の例を見るまでもなく、衰退していくだけです。
 下の写真は、香港にあるパッシンリンの山並み。快晴27、8度の香港の山を堪能しました。