つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

テロリストはビジネス上の暴力装置

 アルジェリア天然ガスプラントで起きたイスラム過激派テロリストによる人質殺害事件は、その経緯が不透明で全体像をつかめることもできず、しかもテロリストの動機が不明。その割には個人的な憎しみを感じさせるような残念なやり口であり、いったいこれはなんだというあきれの感が先に立ちます。それで、こうした事件にあまり言及したくないのですが、まあ、国際政治を生業の一部にしているので、少しばかり書いてみたいと思います。
 最初の報道では、隣国マリの内戦にフランス軍が介入したためなどという解説がありました。でも、これを聞いて小生の第一感は、マリでの内戦がどうしてすぐにアルジェリアに飛び火するのか、意味不明だなという印象でした。それともマリ内戦がアルジェリアまで戦線拡大したのかと思いましたが、それもなし。もし、マリ内戦の関連であるならば、今回テロでフランス人だけを標的にすれば済むのでしょうが、報道によれば、テロリストがことさら日本人を標的にするような動きをしていたと言いいます。どうもマリ内戦との直接的な関連はなさそうです。
 強いて関連あるとするなら、テロリストたちは国際的なテロシンパ勢力、あるいは投機筋からマリ内戦の資金集めをするために、その存在を誇示する材料として天然ガスプラントを狙ったということでしょう。ですから、存在を示すだけならアルジェリアでなくむしろ西欧諸国辺りの方が宣伝効果があるのですが、内戦開始から時間があまり経ってない段階でしたので、手っ取り早く隣国を狙ったということでしょうか。
 ちょっと考えられないことですが、国際的に動乱、混乱を望む人たちはいます。そういう人たちは、手足となるテロリストに資金援助することに躊躇しません。それは、ビジネス的な理由が大きいと思います。資源施設を狙わせることで石油、天然ガスの価値を守り、その価格維持を図りたいとする資源系の企業、中東の金持ち、またテロを起こさせることで、国際的な経済マーケットに影響を与え、そのサヤを取ろうとする投機筋、さらには諸国家、諸企業に安全保障を再認識させ、その結果、武器、弾薬、ガードマンなどの必要性を高めようとする武器商人、安全保障ビジネス。こうした勢力がテロリストに資金援助しているのです。
 今回のテロリストもイスラム過激派などと言われていますが、実は宗教とはあまり関係なく、宗教をオブラードにくるんでいるだけの単なるビジネス上の暴力装置暴力団と見ればいいでしょう。暴力装置は金儲けのためなら何でもやります。日本国憲法はノー天気に「平和を望む諸国民の公正と信義に依拠して」などとうたっていますが、世の中、残念ながら、すべての人が平和を希求しているわけではないのです。
 今回の事件はまた、「国際システムの本質はアナーキー(無政府)な社会」であることを教えてくれました。特に、国家の安全保障の及ばない地域に人や企業が行く場合のリスクというものを改めて考えさせられました。われわれは、安易に海外旅行していますが、そうしたアナーキーの状況を理解している人がどれだけいるでしょうか。日本国内の安全性に慣れた企業も、社員を派遣する際、そこが案外危険なところだという認識があまりないように見受けられます。国家の安全保障も大事ですが、人間の安全保障、企業の安全保障も必要です。
 下の写真は、昨年12月に行ったタイのバンコク郊外にあるゴルフ場。小生も20数年ぶりにグリーンに出ましたが、スコアはメタメタ、とても他人に言える数字ではありません。