つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

猪瀬都知事発言は蛇足的行為

 東京都の猪瀬直樹知事が、2020年夏季オリンピックの開催都市立候補でライバル関係にあるトルコ・イスタンブールに対して、「イスラム諸国はけんかばかりしているから、開催都市にふさわしくない」などとコメントをし、問題になりました。どうも開催都市候補同士では、互いに批判をしないというのが不文律になっているようですので、これはまずい発言。こんな発言をする猪瀬知事は、どうも政治家にはなり切れていないようです。
 前回の2016年開催地の競争では、「南アメリカで初めて」という売りでブラジルのリオデジャネイロが権利を獲得、東京は落選しました。開催地選考委員はこの「初めて」というキャッチフレーズに弱いようですから、イスタンブールは今、「イスラム国家で初めて開催」という点を強調しています。猪瀬知事はそれに強い危機感を持ち、選考委員が「イスラムで初」のフレーズになびかないよう、ことさらイスラム批判に出たのでしょう。
 ただ、これは言わずもがなのことでしょう。選考委員は、東京とイスタンブールを比べて、どちらが安全に快適に運営できるか、簡単に理解できるはず。まして、ボストンマラソンのテロがイスラム教徒によるものだと分かった以上、東京開催はぐっと近づいてきたはずです。猪瀬知事は、その自然の流れにさおを差すどころか、阻害してしまいました。いわゆる蛇足的行為によって、却って状況を不利にしてしまったのです。
 そう見ると、猪瀬知事はやはりまだ評論家サークルの人であって、政治家じゃないですね。評論家は物事の本質を突くのが商売であり、イスラム国家の非安全性を強調するのは許されるかも知れません。だが、政治家の立場であれば、やはりオブラードにくるんでも言えないような、許されない言葉があります。まして、招致都市の代表者である都知事であれば、絶対言ってはならないことです。
 猪瀬知事は、問題発覚後にまたまた評論家根性を出してしまいました。政治家であれば、まずい言葉を吐いたら、本心はどうであれ、すぐに「配慮が足りなかった」と言って前言を翻し、謝ってしまえばいいのですが、彼はこれまでのところ、完全には謝っていません。
 文章を生業(なりわい)にしている人は、主張をコロコロと変えると、その後の”営業”に差し支えるという恐れを感じているためでしょうか。しかし、政治家はつじつま合わせのつまらない理屈をこねるより、謝罪した方がはるかにその後の展開が有利になると知るべきです。
 世間は今回の一件でイスタンブールが有利になったと言い、早くも猪瀬戦犯説を唱える人がいますが、小生はこんなことで東京の負けが決まったなどとは思っていません。もちろん、今の東アジアの情勢が続けば、中国、韓国がつぶしにかかってきますので、こちらの方が厄介ですが、、。今、われわれのすべきことは、ひたすら愚直に日本のよさ、東京の素晴らしさを強調していくことではないでしょうか。
 下の写真は、新潟県村上市の市役所構内にある桜並木。満開でした。東京ではとうに終わった桜ですが、北上するとまたまた楽しむことができるんですね。