つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

佳境場面なのに視聴率14%はかなしい

 今年のNHKの大河ドラマ「八重の桜」はなかなかいい出来栄えだと思います。ですが、きょう新聞で確認したところ、まさに会津戦争の佳境に入っているところなのに、6月最後の日曜日の視聴率は14%とのことで、大河ドラマファンの小生からすると少しさみしい感じがします。この先、舞台は明治時代の京都に移り、戦闘場面はなくなるわけですから、視聴率はもっと落ちるのではないかと懸念しています。
 昨年、会津鶴ヶ城を旅行した時、城内で観光土産物店を開いていたおじさんが、「いやー、来年山本八重と会津が登場するので、観光客が戻ることを楽しみにしています」と嬉々と話していました。会津原発事故のあった浜通りとはかなり離れているにもかかわらず、同じ福島県ということで影響を受け、事故発生後1年半ほど観光客は激減していたそうです。
 くだんの土産物店主はまた、「NHKは福島を元気つけるため、福島を舞台にした大河ドラマの制作を考えたのでしょう」と、NHKが地震原発事故で低迷した福島の再生を考慮したことに感謝していました。確かに、そういう要素はあったのでしょうね。ですから、福島、特に会津の人々は「八重」にかなりの期待を持っていたと思われます。
 実際、テレビなどのニュースによれば、鶴ヶ城は観光客が戻ってきたようで、地元ではそれなりの成果を実感している様子です。ただ、テレビの獲得視聴率という視点で見ると、わずかに14%で、かつての20−30%というお化けぶりは今はなく、毎週日曜日夕方の「笑点」の数字にも及びません。あれだけの製作費をかけているのに、落語家7人に負けるというのは、担当プロデューサーも内心じくじたる思いがあるでしょう。
 でも、大河ファンの小生から見ると、「八重の桜」は良くできていると思います。とにかく主人公の綾瀬はるかがいい、やはり輝いている女優です。実際の八重さんがあんなに美人だったかという点を差し置いて、いい役作りをしています。彼女を取り巻く山本家の家族も風吹じゅん、松重豊、西嶋秀俊といい役者がそろっています。
 昨年の「平清盛」は、「遊びをせんとや生まれけん」などのフレーズを多用し、なにか思わせぶりな、きどった演出もありましたが、「八重」にはそれがありません。戦闘場面もCGを使って迫力満点です。でも、それでも佳境場面が14%に終わるというのは、今の若者はあまりにも歴史に関心がないのかも知れません。
 剛力彩芽とか、長谷川博己とか、綾野剛とかトレンディー系の俳優を使って若者を引き付けようとしても、無駄骨なんですね。若者は時代背景を理解できないから、会津藩の悲哀も、白虎隊の悲劇も感情移入できない。結局、この種のドラマは見ないということになるのでしょう。
 下の写真は、埼玉県熊谷駅前での一枚。暑い土地柄だということを利用する企業の看板がありました。