つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

エジプトで軍のしゃしゃり出はおかしい

 エジプトで大統領退陣を求める激しいデモがあったため、軍が主導して、モルシ大統領を追放、新たに大統領を選出する選挙を実施することを宣言しました。テレビ報道を見ると、何やら、デモ隊の要求にこたえて軍が出たことが当然のことのように報じられていますが、小生はこれっていかがなものかと思います。少なくとも、モルシ大統領は民主的な選挙によって選ばれた大統領ではなかったですか。
 モルシ大統領は、イスラム原理主義の「モスレム同胞団」をバックにしており、イスラム回帰主義を目指す風潮がありました。エジプトはトルコと同じくイスラム世俗主義を取ってきたため、多くの国民は厳格な宗教回帰を嫌っていたんですね。また、ムバラク大統領を倒して2年以上経つのに、経済が一向によくなっていないということでも庶民の不満がありました。
 でも、1年前の選挙では、民主的な手続きを踏んでモルシ氏は大統領に当選したのです。決戦投票では僅差とはいえ、51%の国民が支持したのではありませんか。それを反大統領派のデモ隊に迎合する形で、軍がしゃしゃり出るのはどうしても納得いきません。民主主義を標榜する国家であれば、軍は粛々と大統領を守るべきです。エジプトの民主主義制度にとっては、ゆゆしき事態です。
 解説者の話を聞くと、軍はモスレム同胞団と犬猿の仲だったとか(そもそも軍が独自に政治傾向を持つのがおかしいのですが、、)。米国もイスラエルも、イスラム原理主義者の大統領を嫌っていたので、内心、「モルシは替わってほしい」と思っていたとか。米国は「自由と民主主義」の国ですから、自由な国民皆選挙によって選ばれた大統領を追放するような「事実上の軍事クーデター」を表面的には認めることは言わないでしょうが、でも、内心、喜んでいるのかも知れません。
 確かに、それぞれの国家は自国の国益と安全が最重要課題であり、他国が独裁体制を敷こうと何であろうと、自国と敵対せず友好的であれば、歓迎するというのは国家関係のセオリーでしょう。でも、冷厳な国家関係セオリーはさておき、米国は「自由と民主主義」国家群の盟主であるのですから、単なる傍観主義者にならず、エジプトの軍の介入を厳しく批判して然るべきべきでしょう。
 国民の何%かは必ず反権力の人はいるものです。そんな人がデモするたびに、軍がしゃしゃり出て、民主的に選ばれた政権をぶっ潰していたのでは、政権は安定しません。そういう意味では、エジプトの今回の事態に対し、同じ民主主義国家は大いに非難すべきだと思います。
 下の写真は、上海の日本人経営レストランで食べた火鍋。烏骨鶏でだしを取ったスープでうまかったです。