つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

第二次クリミア戦争に発展か

 ウクライナの政変を受けて、同国とロシアとの関係が険悪になり、ひょっとすると、交戦の恐れも出てきました。ウクライナとかグルジアとか、かつてはソビエト連邦に属した同じ国の人間同士が争うというのはたいへん不幸な事態ですが、これもプーチン政権という強権政治が続く故。ソ連が旧東欧圏支配に使った「主権制限論」をひきずるようなロシアの今の体質が変わらない限り、今後も起こりうる現象だと言えましょう。
 実は小生、デモ騒ぎから最後にヤルコビッチ大統領を追い出したウクライナの事態はちょっとやり過ぎではないかと思っています。ヤルコビッチ氏は半独裁者であるうえ、デモを暴力で弾圧し、死傷者を出す騒ぎを起こしたため、それによって自ら国外脱出せざるを得なくなってしまいました。ですが、彼は本来選挙で選ばれた人間。やはり大多数の国民が政権を倒したければ選挙によるのが筋だと思うのです。
 世界には何やらエジプトやタイのように、選挙という民主主義の手段を否定し、デモ、あるいは準内乱のような状況を作って政権を倒そうとするケースが多く見られます。デモを見ると、多くの国民が支持しているように見えますが、実は彼らは少数で、実際は多くの体制支持のサイレントマジョリティーがいるのです。選挙で選ばれた大統領を暴力で倒したとなれば、ロシアが怒るのも理解できないこともありません。
 ですが、デモ、それに伴う内乱、政変はあくまでその国の国内事情で、ロシアが干渉、介入する理由はありません。ロシアが介入すれば、ウクライナは国家分裂状態になり、それは諸外国にとって迷惑なことです。ウクライナでは今、ロシア人が多く住むクリミア半島などでロシア人がすでに港湾などを占拠し、分離独立を目指そうとしています。分裂すれば、必ず内戦になり、ロシアがウクライナ・ロシア人に味方し、欧米はウクライナ政権側に味方するでしょうから、欧州全体の戦争に発展する可能性すらあります。
 19世紀には、帝政ロシアの南下政策を阻止しようと、英仏がクリミア半島を舞台にロシアと戦ったクリミア戦争がありましたが、今回は英仏どころか、かつて東欧圏に属し、今はNATOに加盟する旧東欧諸国もウクライナに加勢するでしょうから、ロシアと欧州連合の一大紛争となりましょう。当然、NATOが動けば米国も関与せざるを得ず、アジアも無関係では済まされません。第二次クリミア戦争に発展するのでしょうか。
 国際政治的に言えば、英国の地政学ハルフォード・マッキンダーが提唱した「東欧を制する者はユーラシア大陸を抑え、世界を制する」というハートランド理論を地で行くような状況が生まれつつあります。欧州と西アジア黒海という海も臨むウクライナという国は地政学的に重要な地理的位置にあることをわれわれは認識しておく必要があります。
 下の写真は、気象予報士氏の退職パーティー終了後、居酒屋に移っての2次会風景。