つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

ミャンマーはインフラ不足

 18日から22日までミャンマーに行ってきました。実は小生、あるメディアでミャンマーのニュース専門に英文、中文の翻訳作業をしているのですが、今まで一度も同地を訪問したことがなく、正直なところ、翻訳作業ももどかしいものがありました。過去の経験から、やはり、原稿を書いたり、翻訳したりする場合、一度でも現地を訪問することが大事だと痛感していましたので、今夏は万障繰り合わせてもこの地を訪れようと思っていました。
 ミャンマーは今、日本の特に経済関係者に強い関心を持たれています。中国が政治的な問題で経済的事象まで影響を及ぼす、被害を与えるという手段に出たことで、これまで中国、中国と言っていた経済人をあきれさせました。その反動として、ASEANへの感情移入というのはごく自然なことです。小生のやっている社団法人でも、昨今はASEAN関係へ依頼が多くなっています。
 ミャンマーでは、沼田大使、三菱商事、JETROの現地所長と懇談させていただきました。大使は、小生が1980年代当初、通信社の記者として北京に赴任していた時代にお世話になった大使館員(確か当時は2等書記官?)でして、当時何もない北京でともに苦労した仲間です。旧知ということもあって、いろいろ裏の情報まで教えていただきました。
 商事所長は、同行した大学教授の知り合いの知り合いということで、アウン・サン・スーチー女史が自宅軟禁されていた邸宅があることで有名なインヤレーク近くの高級イタリアンレストランまで招待いただき、食事をしながら現地の事情を説明して下さいました。大使も商事所長も、ミャンマーの潜在可能性に強い期待を持っていました。ただ、懸念材料は、これはどの発展途上国にも言えることですが、インフラ不足です。
 特に電力不足は深刻。「おおざっぱに言うと、国民の7割は電気の供給を受けていない」(大使)とのことで、この電力不足がネックとなって、なかなか製造業が進出できないそうです。また、三菱商事、JETRO所長によれば、「コンピューターを使うような産業は、突然の停電ですべてパー。一からの出直しになってしまうため、怖くてとても来れない。製造業でまあまあ来れるのは、突然の停電でもミシンが止まるくらいの縫製業くらい」とのことです。
 それから、小生自身の目から見た印象でも、交通インフラがなっていません。最大都市ヤンゴン市内はまだいいのですが、一歩郊外に出ると、デコボコ道だらけ。また、大量輸送の公共交通機関がないので、ヤンゴンでは夕方いつも渋滞です。しかも今は雨季ですので、時折激しいスコールがあります。当地最後の日、交通量の多い夕方にスコールがあって、主要路は完全に動かなくなり、難儀しました。
 確かに、途上国は労働者の賃金が安いというメリットがあります。ですが、その分、インフラの問題が小さくないのだなということを実感しました。その労働者のコスト安もいつまで続くやら。やがて、物価高の影響や福利、社会保険の充実などで労賃が上がった中国と同じような状況になると思われます。
 下の写真は、ミャンマーヤンゴン市内にある最大の寺院シェラダゴン・パゴダを参拝した時の小生。敬虔な仏教国だけにパゴダと僧侶は多かったです。