つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

帰属決める住民投票も問題点多い

 ウクライナのクリミアで、帰属をめぐって住民投票が行われています。常識的に言えば、一定地域に住む住民がどの国に属したいかは自らの権利として決めるのは当然のことでありましょう。カナダでもこれまで再三ケベック州の独立について住民投票が行われ、僅差でカナダへの帰属継続が確認されています。住民投票で決めるのは民主主義的な手法だと思います。
 今回のクリミアの住民投票で、ロシアへの帰属を選択する結果が出ることは確実です。反対派は投票をボイコットしていますし、現実にこの地域の非ロシア人は少ないですから。もともとソ連という統一国家内の線引きであいまいな部分もあり、ロシアにとっては、セバストポリ軍港という黒海に面した戦略上の要衝を抱えているため、これを失うことなど到底できない話でしょう。
 だからと言って、国家の領域の一部をおいそれと他国に譲るわけにはいかないのも国際政治の常識。もし、クリミアがロシアに編入されたら、同じくロシア人が多いウクライナ東部も編入という事態になりかねません。そうなると、ウクライナは国土の多くを失うことになります。今はソ連の一部でなく、独立国家であるウクライナがそれを許容できるのか。同国をバックアップする欧米も含めて、彼らの対応が注目されるところです。
 今回のクリミアのケースでは当てはまりませんが、帰属をめぐる住民投票で気を付けなければならないのは、一定地域の帰属で将来住民投票をすることを予測し、そこに影響力を持ちたい特定国家があらかじめその地域に自国民を移住させ、徐々に多数派を形成していく、世論づくりをしていくということもあることです。
 たとえば、台湾。今、実は多くの大陸出身花嫁が台湾に入っています。ある統計によれば、すでに60万人程度になっているとか。彼女らは当然、住民投票すれば中華人民共和国への帰属と答えるでしょう。台湾内では、徐々に外省人が減ってきているため、内省人が優位に立つだろうと考える人が多いのですが、それは甘い考えで、実は大陸の党中央は、台湾内に着々と親大陸勢力を育てているのです。
 同じように、沖縄。ここにも今、中国からの移住者が多いと聞きます。中国は沖縄について「帰属国家不確定」との立場をとっており、彼らは将来、(日本は民主主義国家なので)住民投票という形が起こりうるのではないかと考えています。このため、中国は住民投票に備えるべく着々と親中国勢力をかの地で育成しているように思います。住民投票を優位にするための一定国の長期的な戦略にも注意が必要です。
 下の写真は、伊豆半島大島の三原山展望台から三原山を望んだ風景。小生、恥ずかしながら伊豆七島に足を踏み入れたのはこれが初めて。三原山はハワイの火山にも似た姿をしていました。