つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

再び「物言えば唇寒し」の話

 「物言えば唇寒し秋の風」という話を以前書きましたが、どうも「秋の風」でなく「夏の風」と思わんばかりに、最近、舌禍事件が多発しています。石原伸晃環境相の「最後は金目でしょ」も露骨すぎるけど、鈴木章浩都議のセクハラ的な発言にも困ったものです。ただ、鈴木議員で問題なのは、発言内容そのものよりも、むしろ昨日まで、マスコミの取材に対し、「自分のヤジではない」と嘘をついていたことにあると思います。
 石原環境相の肩を持つわけではないのですが、「最後は金目」という発言は分からないわけではありません。彼の発言は、中間貯蔵施設建設に関して、「最後は反対派に札びらを切って黙らせる」という風に取られてしまいました。それであれば、被災民、福島県民を侮辱したとなりますが、小生は必ずしもそうとは思えないのです。
 彼の言った趣旨は、「被災民を納得させるには、それなりに予算を投入して復興作業を急がせる必要がある。そういう努力の中で貯蔵施設建設についても住民が納得してくれるのではないか」ということではないでしょうか。金目とは予算のことであり、住民を納得させる補償金という意味ではないように思います。もし、住民への補償金と取る人がいたら、それは下種の勘繰りかも知れません。
 しかし、石原氏もその点が説明不足でした。本来は、あとで彼自身が弁明したごとくであれば、「金でしょ」などと言うあいまいな、ストレートな表現は避けるべきで、「せめて十分な予算手当が必要でしょうね」くらいにしておけばよかったと思います。政治家というのは、誤解を避ける言い方がまた必要だと思います。
 鈴木都議の発言のうち「早く結婚しろ」は、30代半ばの独身女性に対してはストレートすぎて失礼な感じもするけど、まだ許せる範囲のヤジであると思います。このヤジに対して議場に登壇していた本人も笑っていましたので、それほどの不快感はなかったかと推察されます。それに比べて、「結婚もできない女」とか「お前本人は男もいないのか」などと言われたらムッとするでしょうが、、。
 問題は、子供が産めるとか産めないとかのヤジ。これは論外だと思います。意思の問題をかなり離れ、能力の問題であったり、実現不可能性についての言及になるからです。つまり、「このチビ」とか「このブス」というのに等しい差別的表現です。実は小生も子供がおらず、周りには冗談で「子種がないから」などと言っていますが、ただ、知らない人から「この子種なし男」などと指摘されたら、不愉快に思うでしょう。
 鈴木都議は51歳とありましたが、サラリーマン経験はなかったのでしょうか。今、企業ではセクハラ発言、行為に対しては厳しい目が向けられています。企業にいたら、多分、あんな発言はしなかったでしょう。小生も大学で授業する際、最大限セクハラ発言のないように気を付けています。
 それにしても、鈴木都議のさらなる問題は、ヤジの”犯人”がほぼ分かっていて、マスコミが彼に質問を集中しているのに、昨日まで完全否定していたことです。政治家にとって嘘は絶対禁物。発言の問題よりむしろ選挙民は彼の嘘に愛想をつかしたことと思います。51歳の前途ある政治家にとっては不幸な出来事でした。

 上の写真は、長野県栄村に行く途中に寄った新潟県津南市のそば屋「とみざわ」の店構え。新潟名物のへぎそばがうまかったです。