つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

初めての入院生活

 胃がんを患い、全摘手術を受けるため、2週間入院しました。生まれてこの方60有余年、ただの一度も病院に入院したことがなかった人間からすると、この病名の宣告は相当ショックでした。でも最終宣告から1か月弱で入院するまでの間、来し方行く末を考え、いろいろ人生を考えたりして文字通り“腹”を決めました。もう他の選択はないのだと思ったら、案外、入院、手術への抵抗感、特別の感慨もなくなりました。
 横浜みなとみらい地区の観光スポットの一角にある病院に5月26日午後に入院。その日、付き添ってきた内人が帰ったあとは一人ぼっちの病室暮らし。手術を受ける前の体なので、まだ体は基本的に“正常”ですが、翌日手術を控えているので、飲食ができません。テレビも見る気がなく、本を読むだけの時間。病院暮らしの味気無さを早くも痛感しました。
 翌日昼ごろに始まった手術は麻酔を打たれた時点で寝入ってしまったので、本人は白河夜船。手術の時間は夜9時近くまでかかったのですが、あっという間の感じでした。手術後に覚醒したときにはかなりの寒さを感じて、葉ががくがくしていたのはよく覚えています。その後2日間、上半身、下半身に複数の管を巻かれた状態なので何もできず、また尿道にはカテーテルが入っているのでトイレに行く必要もないので、ほぼ横になっていました。
 人生の中で、こんな長い時間横になるのは初めての経験でしょう。3日目くらいからカテーテルが外されて、トイレに行くことが必要になったので、立ち上がったのですが、久しぶりの歩行に立ちくらみもありました。医師からは「なるべく歩くように」と言われ、その後時間を見つけて病室内や病院の廊下を行き来するようにしていました。
 それでも、昼夜を問わず、体を横たえている時間が圧倒的に長い。寝ては起き、起きては寝ての状態ですから時間が判然とせず。場合によっては「きょうは手術から何日目なのか」ということすら分からないほどでした。(あるいは、全身麻酔のあとはそういう状態になるのかも知れません)すると、真夜中の時間でも目がさえてしまうこともあり、その時は夜の長さをしみじみ味わいました。
 鼻や腹につながる管が5、6日後に外されると、ちょっとした解放感。手術後ずっと髪を洗っていなかったので、思わずシャワー室で看護師の手も借りず一人で洗ってしまいました。点滴のラインが付いているので、まだ体全体にシャワーは浴びられないのですが、1週間ぶりの洗髪はなんといっても気持ちいい。この爽快感を知る限り、小生はとても(風呂に縁がない)ホームレスにはなれないなと実感しました。(以下は次に)

 上の写真は、小生が入っていた横浜みなとみらい地区にある「けいゆう病院」の病室。