つれづれなるままに-日暮日記

現世の森羅万象を心に映りゆくままに書きつくる。

”緊急避難”で安保法案を通すべき

 集団的自衛権の範囲拡大を目指す法案審議の国会公聴会で、自民党が推薦した学者がよりにもよって憲法違反と指摘してしまいました。船田元・党憲法改正推進本部長が人選したらしいのですが、あまりにもお粗末です。自民党は現憲法の枠内の解釈としているのなら、しっかりそういう理論を持った人を選んでくるべきで、船田氏はどうして憲法違反を主張する早稲田大教授などを選んでしまったのか。あるいは、船田氏自身もともと憲法違反と考えており、この人選は確信犯なのか。
 共産党も言っているように、現憲法をよく読んでみれば、あらゆる交戦権を否定しているので、本来は個別的自衛権すら認めていない感じに思えます。つまり、われわれはアプリオリに世界平和を信じ抜くのだから、万一好戦侵略国が出てきて、我が国を攻撃してきたら、みんな手を挙げて侵略国の奴隷になるのだということが現憲法の精神だと思います。
 憲法で交戦権を否定するあまり、戦後、専守防衛のための自衛隊を創設するときにですら、持つべきでないという意見があったそうな。であれば、戦後ずっと解釈の拡大が行われてきたのは多分に無理があったと見るべきで、常識的には、今回の集団的自衛権の範囲拡大は本来、すでに解釈改憲の限界を超えているのかも知れません。
 ただ、では今すぐに憲法改正ができるのかという議論になると、それはそう簡単ではないいことは周知の事実。国会議員の3分の2以上の賛成という条件を現時点でクリアできません。では、今、野党が主張しているように、憲法改正の機が熟すまで集団的自衛権の範囲拡大は待つべきかと言えば、小生はその考えにも与しません。
 それは、現状認識です。今、日本の領土である尖閣諸島に対し外国がどういう行動を取っているのか。日本の重要なシーレーンである南シナ海を独占的に支配しようとする試みがあることにわれわれは「所詮他人のこと」と思えるのか。日本を取り巻く周辺情勢を見るとき、のんきに構えていいとはとても思えません。
 我が国はエネルギーのほぼ100%、食糧の6割を世界に依拠しているのに、一部の野党、”平和主義者”はあまりにも無責任に「戦争に巻き込まれる」論を展開します。我が国は諸外国と分離して存在しない。好むと好まざるとにかかわらず、すでに世界情勢に巻き込まれているのであって、それに見合った応分の貢献は必要ではないでしょうか。
 かつて福田内閣のとき、「人命は地球より重い」などと言って、ハイジャック犯に対し人質の身代金を払い、超法規で刑法犯を釈放したことがありました。周辺情勢を見ると、今はそれくらいは緊急性を孕んでいると小生は思います。本来は憲法改正を図ったのち、堂々と国連憲章並みの集団的自衛権をうたい上げなければならないのでしょうが、ここは憲法改正前の緊急避難として今の与党提出法案を通すべきだと思っています。

 上の写真は、自宅に近い横浜・伊勢佐木町モールにある有隣堂本店でのスナップで、小著が新書売り上げの8位にランクされています。小生が入院中、ある人が「君の本が池上彰に次いで3位に入っているよ」と知らせてきたので、退院後、その写真を取りに行ったら、すでに8位に後退していました。